鈴木馨祐法相は28日の閣議後記者会見で、自動車運転処罰法の改正について、2月10日の法制審議会(法相の諮問機関)総会で諮問すると明らかにした。法制審では危険運転致死傷の要件に、高速度運転と飲酒運転、タイヤを滑らせる「ドリフト走行」を加える方策が議論される。鈴木法相は「危険、悪質な運転による死傷事犯への対応は喫緊の課題。できる限り早期の答申を期待している」と述べた。
悪質な運転を処罰する危険運転致死傷は法定刑の上限が懲役20年で、過失運転致死傷(同7年)より重い。
現行法には、危険運転致死傷の対象となる高速度運転として「進行の制御が困難な高速度」、飲酒運転は「アルコールの影響で正常な運転が困難」との要件がある。ただ、明確な基準がなく、法定速度を大幅に上回るスピードや飲酒状態の運転でも適用されないケースがあり、事故被害者の遺族らから見直しを求める声が上がっていた。
法制審では、車の速度や運転手の体内のアルコール濃度に、数値基準を設ける見直しが審議されるとみられる。この場合、数値基準に達すれば一律に危険運転致死傷が適用される法改正が考えられるが、具体的な数値の設定をどうするか▽基準をわずかに下回った場合も処罰対象とする余地を残すか――といった点が論点になりそうだ。
また、ドリフト走行も「危険性が高い」として、明確に危険運転致死傷の適用対象とする法改正について意見が交わされる。
法務省の有識者検討会は2024年11月にまとめた報告書で、高速度運転や飲酒運転に数値基準を新設し、ドリフト走行を危険運転致死傷の処罰対象に加える法整備を求めていた。【三上健太郎】