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トラブル把握後も中居さん起用 フジやり直し会見、報道陣から批判

毎日新聞 2025年1月28日 21時36分

 タレントを引退した中居正広さん(52)による女性とのトラブルを巡り、フジテレビの港浩一社長らが27日にやり直した記者会見は、28日午前2時23分まで続き、15分の休憩を挟んで10時間を超える異例の長さに及んだ。しかし、フジは「女性のプライバシー保護」を理由に明確な説明を避け、トラブル把握後も中居さんの起用を続けたことに、報道陣から「視聴率アップが念頭にあったのではないか」との指摘が相次いだ。

 さまざまな制限を設け、港氏が「失敗」と認めた17日の会見から一転、27日の会見は参加メディアを限定せず動画の撮影を認め、すべての質問を受けるなど「オープンな形」で行われた。集まった報道陣は191媒体の437人。海外やウェブメディア、週刊誌、フリーなど多岐にわたった。

 会見は午後4時、女性への謝罪や、港氏と嘉納修治会長の辞任表明で始まった。その後、司会の上野陽一広報局長がこれまでの経緯を説明。トラブルが起こる以前、フジ社員に誘われた女性が、中居さんの所有するマンションで行われたバーベキューに参加したことを明かした。参加者は中居さんを含め約10人。上野局長は「問題の食事会がこのバーベキューの延長線上にあるとまでは評価するに至っていない」と述べた。

 会社として2023年6月初旬にトラブルを確認したものの、港氏への報告は同年8月まで行われなかった。フジは「女性の意思、希望を最優先に対応してきた」と釈明。中居さんに対し正式な調査をしなかった理由について、港社長は「(女性に)ヒアリングしたことが伝わってしまったら、どういう刺激を与えるのだろうと心配した」と答えた。

 また、中居さんが司会を務めていたレギュラー番組「だれかtoなかい」の放送を続けたことについては、「番組の動きが(女性に)影響を与えないようにということを、常に考えてやってきた」と女性への配慮を強調したが、記者からは中居さんや視聴率を優先したのではないかという疑問の声や怒号が上がった。

 午後8時過ぎにはフジ社会部の男性記者が質問に立ち、プライバシーを盾にフジが情報を隠蔽(いんぺい)しているのではないかと指摘。「コンプライアンス委員会のトップだった遠藤龍之介副会長に情報を共有していなかったのは不可解だ」と問いただすと、遠藤副会長は「共有すべき問題だった」と認めた。

 会場に空席が目立ち始めた28日午前0時半ごろ、「開始から8時間半たったが会見は失敗か成功か」との質問が出た。港氏は「記者や、見ている皆さんが判断すること」、嘉納氏は「誠意を持って説明をしてきたつもりだ」と答え、同席した親会社フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長は「できる限りの説明をしてきたつもりだが、こんなに長くなったことは反省しなければいけない」と話した。

 10時間が過ぎ、すべての質問に答え終わると、疲れのにじむ役員5人はそろって深々と頭を下げ、出入り口でも1人ずつ一礼して退出した。会場には100人近くの報道陣が残っていた。会見終了直後、フジの平松秀敏報道局編集長はニュース番組内で「10時間を超えた会見は長いが、フジテレビの自業自得。17日の記者会見がこの長い記者会見を招いた」と自社の対応を厳しく批判した。

 フジテレビは会見をノーカットで放送した。予定していた番組を取りやめ、CMなしで流す異例の編成。広報局によると、編成局の判断で急きょ決定したという。会見を放送した「緊急特報フジテレビ経営陣会見」(午後7~10時)の平均世帯視聴率(速報値、ビデオリサーチ調べ)は関東地区で13・1%を記録した。個人視聴率は7・5%。同時間帯でトップだった。【西本龍太朗、平本絢子、諸隈美紗稀】

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