東京都台東区で不凍液に含まれる有害物質を摂取させて次女(当時4歳)を殺害したとして両親が逮捕された事件を巡り、関係機関の対応を検証してきた東京都児童福祉審議会は28日、報告書を公表した。保育施設から虐待を疑わせる体の傷の報告を受けた際、都児童相談センター(都児相)や区が踏み込んだ対応をすべきだったと指摘した。
報告書によると、死亡した細谷美輝(よしき)ちゃんは2019年3月に一時、都児相に保護されたが、約半年で解除された。その後、23年3月に死亡するまでの約半年で計5回、保育施設からひっかき傷やあざがあると区子ども家庭支援センターに情報が寄せられた。
しかし、区は父親への電話での確認にとどめ、家庭訪問をせずに虐待にはあたらないと判断。都児相も区から口頭で報告を受けたが、直接調査をしなかった。
審議会は、区の対応について「家庭への働きかけが不十分だった」と指摘し、家庭訪問などにより直接接触して事実確認し、再評価をすべきだったとした。
都児相には「リスクが高いと判断した場合には、児相が主担当機関になることも含めて、実務者会議に臨み検討することが必要」と再発防止を求めた。
また、保育施設もおむつが臭うなどネグレクト(育児放棄)の兆候を把握しながら、区に随時連絡していなかったと指摘。「ネグレクトや心理的虐待も緊急性が高い事例も含まれるという認識を改めて持つこと」と改善を求めた。
東京地検は美輝ちゃんへの殺人容疑については両親を処分保留としており、捜査が続いている。【岩崎歩、菅健吾】