熊本大学は、大学職員としての業務をリモートワークで担うための「サテライトオフィス」を開所した。通勤が困難な障害者らが、就労支援を受けることで環境が整った同オフィス内や在宅で働くことができるようになる。同大などによると、九州の国立大学では初の取り組みという。
現時点では、オフィスで県内在住の20~40代の男女計4人が、5月まで職業訓練生として就労支援を受けながら働き、6月ごろをめどに熊本大で正規採用されることを目指す。正規採用後、オフィスか在宅かといった働く場所を選ぶという。
オフィスは、働く障害者を支援するNPO法人「在宅就労支援事業団」(熊本市東区)の事務所内に開設。同大によると、データ入力や紙でしか残っていない文書のデジタル化などの業務を見込む。
開所式で小川久雄学長が「ダイバーシティーを目指すことが大学の基本理念であり、それぞれの個性をいかして働くことが期待される」とあいさつ。式後、同事業団の田中良明理事長は「離島などでも働くことができるなど、働き方の可能性が広がると期待する」と述べた。
国立大での在宅就労が可能となれば大学病院など幅広い雇用の期待につながる。同事業団は全国の大学を視野に取り組みを進めるという。【山口桂子】