大阪公立大は28日、大学入学共通テストの試験中に男性受験生が多目的トイレを使用した際、監督者だった男性教員が不正防止の目的で付き添い、個室内まで立ち入っていたと発表した。同大は「不適切な行為だった」として謝罪した。
大学によると、18日に中百舌鳥(なかもず)キャンパス(堺市中区)で実施された共通テストの地理歴史・公民の試験中、男性受験生が「トイレに行きたい」と申し出た。受験生は先に多目的トイレに入ったが、後を付いてきた男性教員も同じトイレの個室に入り、受験生が用を足す間もとどまって、一緒に出たという。受験生はその後、試験に戻った。
共通テストを実施する大学入試センターによると、マニュアルで受験生が試験中にトイレに行く場合は監督者は入り口まで付き添うとされている。男性教員は大学の聞き取りに「不正防止の観点から(一緒に)入ってしまった」と説明しているという。
24日、この受験生の保護者から大学に「(受験生が)怖い思いをした」と電話があり、発覚。大学は保護者に謝罪し、28日付でホームページに事案の概要と「不安な思いや大変不愉快な思いをさせて申し訳ありませんでした」とのコメントを発表した。
大阪府の吉村洋文知事は29日の定例記者会見で「不適切で受験生・保護者におわびする。不正を防ぎたい思いは分かるが、マニュアルは個室前まで付き添うことになっており、再発防止に努める」と述べた。【長沼辰哉】