言いたい言葉が発せられない吃音(きつおん)のある若者らが接客に挑戦する1日限定のイベント「注文に時間がかかるカフェ」を各地で企画している奥村安莉沙さん(32)=東京都=が29日、香川大教育学部(高松市)であった吃音出前講座で講演した。教員免許取得を目指す学生約180人に向けて、教員になったら心がけてほしいことを語った。
吃音は、話そうとすると「ぼぼぼ僕は」とどもったり、最初の音が出てこなかったりする発話障害。成人の100人に1人の割合で症状があるとされる。同大での出前講座は香川や岡山の当事者らが2021年から毎年、吃音への理解を深めてもらおうと開いている。
奥村さんも吃音当事者。21年に「吃音のために接客業を諦めている若者を支援したい」とカフェイベント開催の呼びかけを始め、これまでに35都道府県で実現させている。
奥村さんは、当事者の若者らが「症状が出ても最後まで話を聞いてほしい」などと客に伝えながらイベントに臨んだことを紹介。「接客を経験した若者たちは、実際に周囲に配慮を求めることができるようになった」と話した。その上で「皆さんも先生になったら、子どもに『こうしてほしい、と言ってもいいんだよ』と伝えてほしい」と呼びかけた。【佐々木雅彦】