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100歌人そろうのは全国2例 百人一首絵馬、10年ぶり公開 奈良

毎日新聞 2025年2月1日 6時15分

 新春特別陳列「橿原市指定文化財 百人一首絵馬」が2月1日、奈良県の「歴史に憩う橿原市博物館」で始まる。江戸時代後期、歌人の肖像とその歌を記して同市見瀬町の牟佐坐(むさにます)神社に奉納した扁額(へんがく)型絵馬計14面で、公開は10年ぶり。100歌人がそろった絵馬は、全国で計2例しか確認されていない貴重な文化財だ。3月2日まで。

 絵馬は大(縦46センチ、横182センチ)と小(縦45センチ、横94センチ)の2種類があり、各4~8人の歌人が描かれている。添え書きによると、氏子が弘化3(1846)年、歌道の上達を願って同神社に奉納した絵馬で、描いた絵師は「南岳」と記されている。昔のいたずらで歌人の顔をこすった痕跡があるが、衣装部分など他の保存状態は良好。100歌人がそろった確認例は他に、兵庫県宍粟市の御形神社に同じ弘化3年作の絵馬があるのみだ。

 特別陳列は前期(~2月16日)と後期(同18日~)に分けて7面ずつ展示替え。前期は歴史ファンに人気の持統天皇ら7歌人を描いた第1面を公開。持統天皇は初夏の藤原京の風景を詠んだ有名な百人一首2番歌「春過ぎて/夏来(き)にけらし/白妙の/衣干(ほ)すてふ/天の香具山」とともに描かれている。百人一首かるたの絵札と同じく、飛鳥時代の持統天皇が平安装束の十二単(ひとえ)を着ている点も興味深い。

 前期は他にも平安時代の女性歌人、小野小町が描かれた第二面など計7面が並ぶ。後期は源氏物語作者の紫式部の肖像がある第九面、百人一首選者で平安・鎌倉時代の歌人、藤原定家が描かれた第十四面など計7面を展示する。百人一首絵馬は2005年に橿原市に寄贈され、保存修理の上、同博物館で保管されている。牟佐坐神社には代わりに絵馬の写真パネルが展示されている。杉山真由美主査は「絵馬を通じて100歌人それぞれの人物像に思いをはせてほしい」としている。

 月曜休館。午前9時~午後5時。大人300円、高校・大学生200円、小中学生100円。問い合わせは同館(0744・27・9681)へ。【皆木成実】

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