戦後、存続の危機にあった上方落語を復活させた人間国宝で落語家の故・桂米朝さんの没後10年と生誕100年を記念して、「桂米朝顕彰碑」が大阪市住吉区の住吉大社境内に建立され30日、お披露目された。
2015年に89歳で亡くなった米朝さんは住吉大社で続く「升の市 住吉寄席」を03年に始め、自身も10年まで出演していた。初回に米朝さんが演じたのは、「住吉駕籠(かご)」だったという。
除幕式には米朝一門の噺家(はなしか)らが出席。高さ、横幅各約2メートルの石碑には、米朝さんが住吉大社で色紙に揮毫(きごう)した「一期一会」の文字が刻まれた。長男で落語家の桂米団治さんは米朝さんが生前、大切にしていた「落語は同じネタでも客層などで変わる芸能。だからこそ、一つ一つの高座を大切にしなければならない」との信条を紹介した。
孫弟子の桂南光さんは、「人としても尊敬していた。碑が建つことで100年、200年先も米朝師匠の素晴らしさが残ると思う。感激しています」と語った。
今年は命日の3月19日に「米朝十年祭」とする一門会をサンケイホールブリーゼ(大阪市北区)で開くなど、年間を通してさまざまな催しが予定されている。【谷口豪】