埼玉県八潮市で道路が陥没しトラックが転落した事故を受け、茨城県は31日、県が管理する下水道のうち設置から40年以上が経過した下水道管89キロについて、緊急の目視点検を3日から行うと発表した。1月29日に国が示した緊急点検の対象ではなかったが、県内でも水戸市大工町で2024年に下水道管の破損が原因の道路陥没が発生しており、独自調査の実施を決めた。水戸市など自治体でも緊急点検が始まっているが、現時点で異常は確認されていないという。【川島一輝、鈴木敬子、鈴木美穂、田内隆弘、信田真由美】
県下水道課によると、県内の下水道の総延長は1万3972キロで、うち県管理は360キロ。29日に国が出した緊急点検の対象は下水道管の幅が2メートル以上などの基準があるが、県管理分では対象となる場所はなかった。そのため県では独自に調査をすることにした。
県が今回点検するのはひたちなかや神栖、土浦など計10市町を流れる区間。マンホールを開けて汚水の流れや異物の混入などを確認する。県によると、過去10年で下水道管の劣化が原因とされている陥没によりオートバイの運転手が転倒して骨折する事故があった。
大井川和彦知事は31日の定例記者会見で「いつ県内で起こってもおかしくない。他山の石と思っている」と述べ、対応に当たる方針を示した。
水戸市では24年9~10月、市中心部にある大工町の同じ場所で、下水道管の破損による陥没が計3回発生した。10月9日に起きた陥没では、道路に幅約2メートル、長さ約5メートル、深さ約5メートルの穴が開いた。幸いけが人はいなかったが、復旧に3週間近くかかった。
市下水道計画課によると、破損したのはコンクリート製の箱形の下水道管。各家庭など複数の管から汚水が集まる「幹線」だった。耐用年数の50年を超えており、老朽化が原因とみられるという。
耐用年数を過ぎた下水道管は市全体の約6%に当たる75・8キロある。市内では年に平均10件ほどの陥没が発生しているという。
市は1月31日、緊急点検を実施。職員約15人が道路にたわみがないかや、国道沿いの歩道などのマンホールの蓋(ふた)を開け、破損がないか確認した。市は今後も幹線が通る国道を中心に点検を続けるという。
土浦市でもこの日、主要な計約70キロを中心に、緊急点検を実施。日立や北茨城、つくばや守谷、笠間市なども点検をしている。