阪神大震災で被災した高齢者が暮らす神戸市中央区脇浜海岸通の災害公営住宅「HAT神戸脇の浜」集会所で1日、20年前から文通を続ける香川県立琴平高の手紙支援同好会「とらすとK」のメンバーら約15人が訪問し、お年寄りら約35人と交流するお茶会「なごみ茶屋」があった。
栄養士に、社会福祉士に 目標語る
高校生は暑中見舞いやクリスマスカードなどで月1回、近況を手紙にしたため、夏・冬休みに訪問して郷土芸能や喫茶などで交流する。この日も、吹奏楽部員のクラリネット演奏で「ふるさと」や「大きな古時計」などを合唱。心づくしのお茶と香川県名産品を味わったり、クイズ大会などをしたりして旧交を温めた。
卒業を控えた3年、藤本知花さん(18)は「料理の腕を磨き、高齢者施設の人々に喜ばれる栄養士に」。同、岩嶋菜月香さん(18)は「コミュニケーション能力が高まった。同じ目線で話せる社会福祉士に」と、それぞれ目標を語った。
1995年の阪神大震災以来、高齢者や障がい者の訪問を続けてきた神戸市東灘区の元夜間高校教諭、牧秀一さん(74)が「一枚のはがきは『忘れていないよ』のメッセージを届けることができる」と活動を提唱。熊本や東日本、能登半島の各震災地にも手紙を届けている。
住宅に2000年春に入居した服部珠子さん(94)と曽根法子さん(88)は「手紙を心待ちにしている。ここに来れば誰かと会える。高校生との交流は生きる希望」と末永い交流を願った。【中尾卓英】