Infoseek 楽天

下水道管調査にドローン 水流れていても安全に 道路陥没事故で注目

毎日新聞 2025年2月3日 16時0分

 埼玉県八潮市の県道交差点で道路が陥没しトラックが転落した事故を受け、下水道管の緊急点検に着手する自治体が全国で相次いでいる。

 老朽化への対応や備えが急務となる中、最新技術を駆使した民間の調査方法が注目を集めているという。

解像度高く、亀裂はっきり

 硫化水素による腐食が内壁で進み、セメント内のさびた鉄筋が露出。内壁に開いた穴から地下水が噴き上がる――。

 上下水道に関するコンサルタント業務を手がける会社「NJS」(東京都港区)のドローンが撮影した下水道管内の映像だ。解像度が高く、管の上の方に走る細い亀裂もはっきり確認できる。

 NJSは2017年からドローンを使った調査を導入した。空中を飛行するタイプのほか、船のように水面に浮かぶタイプと水中を潜るタイプの3種類をそろえている。いずれも自社開発したものだ。

 NJSによると、管内の点検調査はケーブルでつないだテレビカメラ搭載の小型車や、作業員が入って潜行目視する手法が主流となっている。ただ、水が流れている状態だと調査自体が困難だったり、管内に作業員が入るため安全性の確保に時間を要したりといった課題があった。

耐用年数超えは7%

 これらの解決に向けて着目したのがドローンだった。社員が遠隔操作するドローンであれば、水の有無にかかわらず安全に調査できる。

 現在、年平均で10キロ程度の調査を実施。インフラの老朽化による事故の発生や下水道法改正などを背景に自治体からの問い合わせは年々増えており、下水道管以外にも下水処理場内の配管や貯水槽など、調査の範囲が広がってきているという。

 国土交通省によると、全国の下水道管の総延長は22年度末で約49万キロあり、耐用年数の50年を超えた水道管は約3万キロ(総延長の7%)。今後、増えていくことが予測されている。

 NJS企画広報室の坂井貴彦室長は「50年を超えても問題ない場合もあれば、50年未満でも腐食などが進んでいる場合もあり、中を見てみないことには分からない。今後もAI(人工知能)や3Dを活用した技術開発などを進め、点検困難箇所の調査を進めていきたい」と話している。【千脇康平】

この記事の関連ニュース