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函館のスルメイカ、高根の花に 今期の取扱量はピーク時の4.5%

毎日新聞 2025年2月3日 15時39分

 今期の道南のスルメイカ漁が1月末で終了した。北海道函館市水産物地方卸売市場のスルメイカ取扱量は過去最低だった昨期(317トン)を上回ったが、ピーク時の約4・5%の400トンと低迷。深刻な不漁は続いており、「イカの街・函館」の食卓を彩った庶民の味は高根の花になっている。

 市農林水産部企画調整課によると、漁期(6~1月)ごとの統計を取り始めた2005年度以降、最多の取扱量は08年度の8924トンで、その後は減少傾向が続いている。

 今期は漁の始まった昨年6月の取扱量が19トンと過去最低を記録した。水揚げ初日は23年の約860キロから24年は約113キロに激減し、それ以降もほぼ横ばいが続いた。

 昨年10月下旬から11月上旬にかけての一時的な豊漁で、11月の取扱量は前年同期比43トン増の119トンとなり、11月としては7年ぶりに100トンを超えた。

 ただ、1キロ当たりの価格は過去最高となった昨年度(1344円)に次ぐ1268円と2年連続で1000円を超え、最も安かった08年度(225円)の約5・6倍だった。

 道立総合研究機構函館水産試験場の木村俊介研究職員は「北海道の近海を来遊するスルメイカの群れ自体が減少している」と指摘する。

 日本海南部や東シナ海で生まれるスルメイカは、日本海を北上する対馬暖流や太平洋の黒潮に乗り、北海道や千島列島の周辺を回遊するが、木村研究職員は「海水温の上昇といった海洋環境の変化で、産卵時期が遅れたり幼生の生存率が低下したりしたことが資源量の減少につながっている可能性があり、今後も調査を続けたい」としている。【三沢邦彦】

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