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松阪牛に合うお茶は? 老舗が1年かけ「すっきり」求めた新商品

毎日新聞 2025年2月4日 11時45分

 「松阪牛」で有名な三重県松阪市ならではの新商品「肉料理に合うお茶」が完成した。老舗が協力して誕生したのは松阪市飯南町で生産された新茶の茎の部分だけを使った浅煎りのほうじ茶で、香ばしさとすっきりとした口当たりが肉料理にぴったりだという。

 新商品が生まれるきっかけは、ある言葉だった。「お茶は無料で提供されるけど、ウーロン茶やコーヒーは有料」。茶を生産販売する「深緑茶房」(松阪市飯南町粥見)の小林俊之店長(42)はお茶が軽んじられているように受け止め、複雑な思いをしたことがあったという。

 松阪市は県内有数の茶の生産地で、「松阪茶」の名前でPRもしている。小林店長は松阪茶のブランド価値を高める商品を作りたいと考え、地元の特産品である松阪牛の肉に合う茶の開発を思いついた。2024年2月には深緑茶房が緑茶を提供している老舗料理店「牛銀」(松阪市魚町)の小林甲児社長(54)に協力を求めると、快諾を得た。

 両社が肉料理として想定したのは定番であり、広く親しまれるすき焼きだった。試飲会に牛銀の従業員も参加して意見を出し合い、味の濃い割り下やマイルドな生卵との相性を考えて、すっきりとした口当たりを求めた結果、選ばれたのがアミノ酸を多く含む茎の部分だった。

 さらに、香ばしさがほしいという意見から、緑茶からほうじ茶に大胆に変更し、弱火で時間をかけて焙煎(ばいせん)し、調整が難しいとされる「浅煎り」が相性が良いという結果になった。成分で見ても、高温で焙煎する「深煎り」と比べて脂肪吸収を抑制するカテキンを5~6倍も含むという。

 パッケージも含めて、完成まで約1年かかった。牛銀の若女将(おかみ)、小林由佳さん(47)は「お店でもお食事の途中や食後に飲んでいただけるようにしたい」と張り切っている。

 新商品は両社の店頭で販売。1袋50グラム入りで648円(税込み)。インターネットからも購入できる。問い合わせは深緑茶房(0598・32・5588)へ。【下村恵美】

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