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大学進学ジェンダーギャップ白書 NPO作成、教員向けに配布

毎日新聞 2025年2月5日 18時54分

 地方出身の女子学生の選択肢を広げる活動に取り組むNPO法人「#YourChoiceProject」は5日、大学進学におけるさまざまなジェンダーギャップ(男女格差)をまとめた白書を公表した。今後、全国の教育委員会に配布する予定で、主に教員に活用してもらうことを想定している。

 白書は、A4判36ページのカラー冊子。全7章で構成され、社会▽家庭▽学校・塾▽大学――などの観点から、進学の意思決定をする際、学生を取り巻く環境における性別の固定観念や偏見が与える影響についてデータを基に解説した。また「その他の問題」として、月経による体調不良や男子と女子で学生の受け入れ状況に差がある「県人寮」も取り上げた。

 塾については、選抜クラスに入るための条件として男子よりも高い成績を女子に課している進学学習塾がいまだに存在すると指摘。白書では、「事前に自ら高い質の女子学生を締め出し、成長機会を奪うことは、学生の進路選択のみならず塾の合格実績にも損失が生じることになる」と強調した。

 団体の代表を務める川崎莉音さん(23)は白書作成の経緯を「これまで調査に力を入れてきたが、関心のある層にしかデータが届いていないのではないかともどかしく感じていた」と説明。団体が実施した過去の調査をはじめ、さまざまな統計や論文などをもとに、議論の基礎資料として活用できるものにしようと約1年かけて完成させた。

 団体は白書に加え、年度内にも学校現場におけるジェンダーバイアスの強い言動をなくすことなどを目的とした教員向けの教材を作る予定だという。川崎さんは白書について「理解を深め、議論の基盤になれば。進路指導の際の基礎資料や教員の勉強会の資料として活用してほしい」と話している。白書は団体のホームページ(https://yourchoiceproject.com/)で公開している。【井川加菜美】

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