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維持200万円、家賃30万円だった旧徳島県知事公舎 1.6億円で落札

毎日新聞 2025年2月6日 10時51分

 徳島県で飯泉嘉門前知事まで3代にわたり使われた旧知事公舎(徳島市)が4日、一般競争入札にかけられ、東証スタンダード上場で分譲マンション「クレアホームズ」を展開する不動産会社「セントラル総合開発」(東京都千代田区)が最低売却価格(8301万3300円)の約2倍に当たる1億6555万4000円で落札した。

 県などによると、入札には法人や個人計6者が応札し、同社が最も高い金額を示した。今後、遅くとも3月上旬までに落札金額が納められれば、所有権が移る。売却金は2024年度の県歳入になるという。

 旧知事公舎は徳島市中心部の県庁から約500メートルの場所にあり、隣接する旧職員駐車場と合わせ、約900平方メートルの県有地が入札対象となった。

 付近には住宅が広がるが、建ぺい率80%、容積率400%の商業地域で、マンション建設も可能だ。敷地は南北が道路に面しているうえ、南側道路を挟んだ隣接ブロックは公園となっている。このため、日当たりや眺望を大きく遮る建物が建設される可能性が低い点なども評価されたとみられる。

 最低売却価格は不動産鑑定を経て決まったが、セントラル総合開発の担当者は「閑静な住宅地だが、徳島市の中心部で利便性がよい。南側が公園なので、『全戸南向き』の建物を建てられるなど得がたい立地と判断し、評価させていただいた」と説明している。

 旧知事公舎は、公費による維持費が年間約200万円必要な一方、入居する知事から徴収する家賃(2022年)は年間約30万円。こうした点などに疑問を呈した後藤田正純知事は入居していない。そして、不動産鑑定士らからなる有識者に活用方法の検討を求め、23年12月には「売却が最も経済的」との意見書が提出されていた。

 5日の定例記者会見で、落札結果を問われた後藤田知事は「(相続税の算定などに使われる)路線価をはるかに上回る価格で売れたのは良かった」と述べた。【植松晃一】

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