学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の公文書改ざん問題を巡り、政府は6日、関連文書の存否も明かさず不開示とした国の決定を取り消した大阪高裁判決を受け入れ、上告を断念することを表明した。
石破茂首相は6日、加藤勝信財務相や鈴木馨祐法相らと首相官邸で会談し、上告しないよう指示。加藤氏が会談後、記者団に明らかにした。
一連の改ざんを苦に自殺した元財務省近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の妻で訴訟の原告として文書開示を求めてきた雅子さんがこの日夕に大阪市内で記者会見し、首相にショートメッセージを送ったことを明らかにした。
雅子さんによると、「夫に良い報告ができます。黒塗りのないものを出してほしいです」と送ると、首相から「ご連絡いただきありがとうございます」などと返事があったという。
雅子さんと石破氏は首相就任前から交流を続けている。
夫の死の真相を知るための裁判だった。雅子さんは、財務省から大阪地検特捜部に提出された改ざんに関する文書の開示を求めたが、国は捜査への影響を理由に文書の存否さえも明らかにせず、不開示を決めた。雅子さんは2021年10月、決定の取り消しを求めて提訴した。
大阪高裁判決は請求を棄却した1審・大阪地裁判決を覆し、国の決定を違法として雅子さん側の逆転勝訴となった。今月13日が上告期限だった。【高良駿輔、古川幸奈】