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任意取り調べも全面可視化検討 「不透明」批判、適正化狙う 最高検

毎日新聞 2025年2月6日 19時26分

 取り調べの録音・録画(可視化)を巡り、最高検が、法律上は可視化が義務付けられていない任意の取り調べについても全面可視化を実施する検討をしていることが関係者への取材で判明した。任意段階の取り調べに対しては、刑事事件を担当する弁護士らから「不透明だ」との批判があり、適正化を図る狙いがあるとみられる。

 取り調べの全面可視化は2010年に発覚した大阪地検特捜部による証拠改ざん事件後に本格化した。19年6月施行の改正刑事訴訟法では、裁判員裁判対象事件や検察の独自捜査事件を対象に、逮捕された容疑者の取り調べの全面可視化が義務付けられた。

 検察は義務化対象外でも、逮捕した容疑者の取り調べでは全面可視化を進めており、身柄拘束事件における全面可視化の割合は近年9割超で推移している。

 一方で、身柄を拘束せずに参考人らから事情を聴く任意の取り調べはルールが未整備で、検察が決めた特定場面で録音・録画をした実績はあるものの、ほとんどが可視化されていないとみられる。

 捜査当局が主導する任意の取り調べに対しては、運用の不透明さがこれまでも問題になってきた。19年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件では、河井克行元法相から現金を受け取った地方議員が、検事から任意の取り調べで不起訴にすると示唆され、供述を誘導されたとの疑惑が浮上。最高検は23年12月、こうした取り調べを不適正と認定している。

 任意の取り調べの全面可視化については2月19、20日に開かれる検察幹部の会議でも議題になる見通し。最高検は現場の意見を集約しつつ、実施の可否や対象事件の選定を判断するとみられる。【安元久美子、北村秀徳、岩本桜】

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