公設第2秘書の給与や退職金計約360万円を国からだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元参院議員の広瀬めぐみ被告(58)は6日に東京地裁(石川貴司裁判長)で開かれた初公判で、起訴内容を認めた。検察側は「公設秘書制度の根幹を揺るがす極めて悪質な犯行」として懲役2年6月を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審した。判決は3月27日。
広瀬元議員は、上下黒のスーツ姿で出廷した。被告人質問で「政治活動でお金がかかり、私財を投じないと回らなかった。『ぽっと出』で、支援者もおらず、(政治資金)パーティー券収入も期待できなかった」と釈明した。
検察側は冒頭陳述で、広瀬元議員が2022年7月の参院選で初当選後、2人採用できる公設秘書が1人しか確保できず、1人分の給与が国から出ないのは惜しいと考え、長女に名義を貸してほしいと打診したが、断られていたと指摘した。公設第1秘書に対し、第1秘書の妻を公設第2秘書とさせることを提案し、22年12月に虚偽の届け出をしたが、第2秘書としての活動は一切していなかったとした。
しかし、23年7月になって週刊誌記者が広瀬元議員の秘書給与詐欺について取材をしていることを把握し、パーティーに第1秘書の妻を伴って出席するといった偽装工作に及んだと言及。詐取した秘書給与は事務所運営費だけではなく、長女への小遣いや飲食費といった個人的な用途にも充てていたと述べた。
弁護側は、第1秘書の妻を第2秘書として届け出たのは、次の公設秘書が見つかるまでのつなぎだったとし、私利私欲のためではなく、事件の悪質の程度は低いと反論。寛大な判決を求めた。【安元久美子、岩本桜】