Infoseek 楽天

声優の野沢雅子さんら7人が受賞 毎日芸術賞、ユニクロ賞贈呈式

毎日新聞 2025年2月7日 19時5分

 第66回毎日芸術賞(特別協賛・株式会社ユニクロ)の贈呈式が7日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開かれた。本賞5人、特別賞1人に加え、若手芸術家を顕彰するユニクロ賞1人の各受賞者に、松木健・毎日新聞社社長が賞状などを、柳井康治・ファーストリテイリング取締役が花束やカシミヤのセーターなどをそれぞれ贈った。

 ミュージカル「スウィーニー・トッド」「モーツァルト!」での演技で受賞した俳優の市村正親さん(76)は主演舞台に出演中のため、代わりにビデオメッセージを寄せ、「俳優生活51周年の年に上演された2作品で賞をいただいた。僕はずっと走り続けなければいけないと思った」と意気込みを語った。

 小説「虚史のリズム」(集英社)で受賞した作家の奥泉光さん(69)は「アジア太平洋戦争を題材に書いてきた。分かりやすい単一の物語ではなく、複数の物語の場に人物や出来事、死者を呼び込み解放することが小説の意味だと思う。その辺りが評価されたのならうれしい」と喜びを表した。

 「『間』慶徳紀子書展」(東京・セイコーハウスホール)で受賞した書家の慶徳紀子さん(83)は「日本独自の文化である『かな』を、いかに現代の表現にできるか、実験ばかりしてきたように思う。かな書の文化を次世代に伝える活動にもかかわっていきたい」と展望を語った。

 歌集「はるかなる虹」(短歌研究社)で受賞した歌人の小島ゆかりさん(68)は、先月末に母を亡くして8日に葬儀があるといい、「悲しくてしかたないはずなのに歌をつくってしまう。自分にとって歌は心が呼吸するようなもの。今回の受賞は本当にかけがえのないものになった」と話した。

 名器を使って録音したアルバム「チェンバロ精華集」などで受賞した古楽鍵盤楽器奏者の渡辺順生さん(74)は「私が弾き始めた50年以上前は、日本では実際に見聞きする機会がほとんどない楽器だったが、今では珍しくなくなった。これからも一人でも多くのチェンバロのファンを増やしたい」と意欲を示した。

 テレビアニメ「ドラゴンボールDAIMA」での主人公・孫悟空の声など長年の功績により特別賞を受賞した声優の野沢雅子さん(88)は「賞をいただけて、本当にうれしい。(声優業は)182歳までやろうと思っている。私を見かけたら、『頑張ってね』と声を掛けてください」とほほえんだ。

 40歳未満の芸術家に授けられるユニクロ賞を映画「ナミビアの砂漠」で受賞した映画監督の山中瑶子さん(27)は「若者が夢や希望を持てない社会をどう変えたらいいか分からない。しかし、社会と主体的に関わりたいという思いはあり、良い映画を作っていきたい」と決意を述べた。【須藤唯哉】

この記事の関連ニュース