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岸田前首相襲撃 検察側「市民を巻き込んだテロ」 和歌山地裁公判

毎日新聞 2025年2月10日 12時27分

 和歌山市で2年前、岸田文雄前首相のそばにパイプ爆弾を投げつけたとして、殺人未遂など五つの罪に問われている木村隆二被告(25)に対し、検察側は10日に和歌山地裁であった論告求刑公判で、「民主主義の根幹を揺るがす犯行で、市民を無差別に巻き込んだテロ行為だ」と指摘した。懲役15年を求刑している。

 これに対し、弁護側は爆弾の性能や被告が投げ込んでから約50秒後に爆発した経緯を踏まえ、「殺意や人に危害を与える目的は認められない」と反論。殺人未遂や爆発物取締罰則違反は成立せず、傷害罪にとどまるとした。量刑は懲役3年が妥当だと主張した。

 起訴状によると、木村被告は2023年4月15日、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、衆院和歌山1区補選の応援演説に訪れた岸田氏らに向けて爆弾を投げつけて演説会を妨害。聴衆男性と警察官の2人に軽傷を負わせたとされている。

 この日の公判では検察側の求刑に先立ち、被告人質問が再度開かれた。被告は公職選挙法違反の起訴内容を認め、「選挙で漁港に来ていると思った」と述べた。これまでは「選挙をやっていると知らなかった」と否認していた。

 被告はこれまでの公判で、選挙制度に不満を持って起こした民事裁判が注目されなかったとし、「世間の関心を集めるためにやった」と説明。この裁判の1審で敗訴した直後の22年12月ごろから事件を計画したとし、自宅近くの山林で爆弾を爆発させる実験をしていたことを明らかにした。【藤木俊治】

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