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10歳死亡ひき逃げ、迫る「迷宮入り」 母「どうか、犯人捕まえて」

毎日新聞 2025年2月11日 9時29分

 埼玉県熊谷市で2009年、車にひき逃げされ亡くなった小学4年の小関孝徳さん(当時10歳)の母・代里子さんが10日、県警察学校(さいたま市北区)で講演した。代里子さんが県警で講演するのは初めてで、参加した職員約200人を前に「(公訴時効を迎える)2029年9月で捜査は打ち切られ、『迷宮入り』が迫っている。どうか犯人を捕まえてほしい」と訴えた。【加藤佑輔】

 講演で代里子さんは、事件の3週間前にサッカー大会で表彰され喜ぶ孝徳さんを撮影した時のエピソードを語り、「まさかこの写真が葬儀の遺影になるとは思わなかった。『次の大会では優勝する』と誓っていたのに、その思いは二度とかなうことは無かった」とやるせない思いを吐露した。

 代里子さんは、19年から街頭やインターネット上で死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求める署名活動を始め、現在までに約14万7000筆を集めている。活動を続ける思いについて「時効が成立してしまえば、息子をひき殺した犯人は罪に問われなくなってしまう。犯人の逃げ得を絶対に許さないような法改正を社会に呼びかけている」と語った。

 講演の最後には、容疑者に宛てた手紙が読み上げられた。

 「私にとってかけがえのない最愛の息子でした。息子の命を奪って、今、何をしていますか。(中略)犯人にも大切な家族がそばにいるのなら、真実を話し、家族に付き添ってもらって自首してください」

 講演を終えた代里子さんは「県警職員に犯人逮捕を強く願う気持ちを直接お話しできる機会はほぼないので、こういった場を設けてもらえて良かった」と話した。

 事件は09年9月30日夕、熊谷市本石1の市道で発生した。孝徳さんは自転車で帰宅途中に市道で車にひかれ、亡くなった。19年9月、県警は容疑を自動車運転過失致死から危険運転致死(いずれも09年当時の罪名)に切り替え、公訴時効が10年延長された。容疑者は検挙されておらず、未解決となっている。

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