愛媛県発注工事の一般競争入札の情報を知人に漏らしたとして、県警捜査2課などは12日、県中予地方局河川砂防課長の鈴木俊博容疑者(58)を官製談合防止法違反などの疑いで逮捕した。同県久万高原町の土木工事会社「久保建設」社長ら計3人も公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕した。
鈴木容疑者の逮捕容疑は、同局久万高原土木事務所建設課長だった2024年2月16日に入札された町の急傾斜地崩壊対策工事を巡り、同月上旬ごろ、知人に非公表の価格情報を漏らしたとしている。
他に逮捕されたのは松山市の元県職員、宮崎裕文(61)、久保建設社長の久保陽生(61)=久万高原町、同社員の大西聖(42)=砥部町=の3容疑者。逮捕容疑は、宮崎容疑者は鈴木容疑者からの情報を久保容疑者らに教え、久保容疑者らはその情報を基に落札したとしている。
県警は4人の認否を明らかにしていない。【山中宏之】
県「信頼損ねた」と謝罪
職員の逮捕を受けて、愛媛県は12日、県庁で記者会見を開いた。 県によると、今回の工事で、入札前は非公表である落札額の下限目安となる「調査基準価格」は3937万662円(税抜き)で、落札価格との差は約1万4000円だった。鈴木容疑者は当時、入札情報を知りうる立場だったという。
また、鈴木、宮崎両容疑者は21~22年度の2年間、県中予地方局久万高原土木事務所で同僚だったことも明らかにした。
同局建設部の坂井克巳部長は「県民のみなさまの信頼を損ねることになり、心からおわびします」と謝罪した。