選挙区間の「1票の格差」が最大2・06倍となった2024年10月の衆院選は、投票価値の平等を定める憲法に反しているとして、二つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の判決で、広島、大阪、札幌の3高裁は12日、「合憲」と判断した。3高裁とも「平等の要求に反する状態にあったとはいえない」と述べ、請求を棄却した。
弁護士グループは14高裁・高裁支部に16件の訴訟を起こしている。今月6日に言い渡された広島高裁岡山支部判決を含め、計4件はいずれも合憲とされた。各地の判決が出そろい次第、最高裁で統一判断が示される見通し。
24年衆院選は人口比を選挙区の定数に反映しやすくする「アダムズ方式」に基づき、区割りを見直した初の選挙だった。小選挙区の「10増10減」が実現し、前回21年選挙(2・08倍)からわずかに格差が縮小。一連の訴訟では是正に向けた国会対応の評価が焦点となっている。
3高裁はそれぞれ、アダムズ方式を採用した区割り制度を検討。投票価値の平等を重視し、格差を2倍未満に抑えるようにしたとして合理的だと判断した。そのうえで結果的に格差が2倍を超えたのは、自然な人口移動が原因だと分析。格差の程度についても「制度の合理性を失わせるほど著しいものとはいえない」と述べ、憲法に反しないと結論付けた。
審理を担当した裁判長は、広島=倉地真寿美▽大阪=田中健治▽札幌=小河原寧――の3氏。【木島諒子、中村清雅、後藤佳怜】