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台風に伴う竜巻予測、世界初 スーパーコンピューター「富岳」で

毎日新聞 2025年2月12日 18時59分

 スーパーコンピューター「富岳」を使い、台風に伴って起きる竜巻の予測に世界で初めて成功したと、横浜国立大と富士通の研究チームが12日発表した。竜巻は甚大な被害をもたらすが、突然発生する上、気象現象としては規模が小さいため直接観測ができず、予測が非常に難しかった。チームは精度を高めて実用化を目指したいとしている。

 台風の直径は竜巻の1000倍以上もある。チームは、台風の全域を80メートル四方、約30億地点ものメッシュに区切り、各地点の風速や雨量などの膨大なデータを富岳で高速処理。台風と竜巻を同時にシミュレーションできる技術を開発した。

 また、これまではこうした計算に11時間以上かかっていたが、今回開発した技術では約80分に短縮でき、竜巻が起きる約2時間半前に、発生場所を予測することが可能になった。宮崎県内で5件の竜巻が起き、39人が負傷した2024年8月の台風10号のデータを使ってこのシミュレーションを行うと、実際に宮崎県内で複数の竜巻を再現できた。

 ただし、この予測技術には、発生時間や場所にまだ誤差がある。富岳は、予測のための計算を20パターン同時に実施できるといい、チームは、多数の予測を実施して確度を上げる「アンサンブル予測」をするなどして精度を高めたい考えだ。

 東京都内で記者会見したチームの坪木和久・横国大教授(気象学)は「竜巻の中でも台風に伴うものは非常に危険だ。予測によって防災につなげたい」と話した。【酒造唯】

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