チョコレートの原料となるカカオ豆の主要産地、西アフリカでは、カカオの生育に適した気温を超える日数が地球温暖化で大幅に増加したとの分析結果を米国の気候研究機関クライメートセントラルのチームが12日発表した。主な収穫期(10月~翌3月)に年平均3週間以上増えた国もあった。
既にカカオ豆の高騰が続いているが、チームは人間活動による温暖化が続けば、チョコレート価格や産地の経済にさらなる影響が出る可能性を指摘する。
赤道を挟んで北緯20度~南緯20度の地域は「カカオベルト」と呼ばれ、カカオの生育に適しているとされる。世界のカカオ豆の約7割は、カカオベルトにある西アフリカの4カ国(コートジボワール、ガーナ、カメルーン、ナイジェリア)で生産されている。
チームによると、栽培期間に気温が32度を超えると、カカオ豆は質、収穫量ともに低下する。チームはこの4カ国の2015~24年の気温を分析。コートジボワールでは、主な収穫期の間に32度を超える日が温暖化によって年平均26日、ガーナで25日増えていた。カメルーンは15日増、ナイジェリアでは9日増だった。世界の平均気温が観測史上最も高かった24年は、4カ国のカカオ産地の約7割で年間6週間以上増えていたという。
同機関科学部門副代表のクリスティーナ・ダール氏は「極端な暑さは環境への影響にとどまらず、カカオ豆生産で生計を立てる農家や地域コミュニティーに直接的な打撃を与えている。バレンタインデーにチョコレートを楽しむ際には、気候変動がもたらす広範な影響について考えることが重要だ」とコメントした。【山口智】