新紙幣にわく声もある一方、公共交通機関ではまだ対応できていない駅や路線もあるようです。また、券売機で支払うラーメン店からは、新たな設備投資への不安の声がきかれました。
(記者)「鹿児島市営バスです。両替機の見た目は変わりませんが、新紙幣対応に変わっています」
鹿児島市営バスは、3月までに全ての車両で新紙幣対応としました。導入後、始めての両替、担当者も見守る中…
(記者)「新千円札を両替してみます。無事、両替できました」
(鹿児島市交通局バス事業課 岩元育朗課長)「両替ができたとほっとしている。127台全てに導入した。3500万円程度の費用が掛かった。安心して市バスを利用していただきたい」
県内の公共交通機関の対応状況です。
市電・市バスは全ての車両で新紙幣に対応。JRは、県内の駅の3割ほどが対応していて、来年12月までに全ての駅の券売機での対応を完了させるとしています。それまでの間は、到着駅での後払いなどで対応します。
肥薩おれんじ鉄道の券売機は全て新紙幣に対応していて、車内の両替機は年内をめどに変えるということです。
新紙幣での支払いについて、空港連絡バス・南国バス・鹿児島交通は未対応で、「業者の調整ができ次第対応する」、「ICカードでの支払いや、バスの乗客同士で両替してほしい」としています。
街が新紙幣に沸く一方で、不安の声もきかれます。
自家製麺のつけ麺が人気の鹿児島中央駅近くのラーメン店です。券売機を使った前払い制ですが、新紙幣には、まだ対応していません。
(jango 原田和卓社長)「券売機でも客に待ちが出る状況なのに両替でお待たせしたらご迷惑がかかると思っている」
店は2か月ほど前に新紙幣対応の券売機についてメーカーに問い合わせたものの、注文が殺到し、半年待ちだといいます。
さらに悩ましいのが、導入費用です。比較的新しい券売機であれば、部品交換に10万円~30万円かければ新紙幣に対応できますが、10年以上経つ店の券売機は部品交換に対応しておらず、買い替えるしかありません。
(jango 原田和卓社長)「頭が痛い状態。費用が200万くらい」
2019年の軽減税率導入の際には、国が条件付きで補助金を出していましたが、今回の新紙幣発行に伴う機器導入に関する補助金制度は、国、鹿児島県ともに設けていません。
物価高や円安の影響で、小麦などの原材料も1.4倍に増えていて、券売機の導入費用が追い打ちをかけます。
(jango 原田和卓社長)「これから暑くなると電気代やエアコンも上がる。工夫だけじゃやり過ごせなくなってくると常に危機感がある」
物価高に加えて、新紙幣への対応...飲食店の苦悩はしばらく続きそうです。
また、県警は新紙幣の発行にともない「前の紙幣は使えなくなったため回収する」などとうたう詐欺も予想されるとして、「不安に思った際は相談してほしい」としています。
なお、これまでに県内で被害や相談の連絡はないということです。