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子宮頸がん予防のHPVワクチン「家族を持ちたい夢があるから」一部対象者への無料接種来年3月まで…妊娠中の健診で見つかることも

MBC南日本放送 2024年7月18日 19時7分

今回の特集は近年、若い世代に増えている子宮頸がんのワクチンについてです。

無料で接種できる取り組みが今年度で終了します。期限を過ぎると10万円近くかかるワクチンですが、接種率が低いのが現状です。接種することを選択した女性や、専門医の声を取材しました。

鹿児島国際大学看護学部2年の末野百華さんと仮屋佳奈さんです。看護師を目指す2人は今月、HPVワクチンを接種しました。

(末野百華さん)「将来家族を持ちたい。その夢を持てなくなる怖さの中、ワクチンを打つことで、少しでもその夢に近づけられるようなメリットがあったので打ってみようと思った」

近年、若い女性に増えている子宮頸がん。妊娠中の健診で見つかることもあり、流産や早産のリスクのほか、亡くなるケースもあります。日本では毎年およそ1万1000人が発症し、およそ2900人が死亡。県内ではおととし、164人がかかり、55人が亡くなりました。

子宮頸がんはHPVというウイルスが主な原因で、性行為をしたことがある女性の半数以上が感染するとされています。予防に有効なのが、感染を最大9割抑えることができるとされるHPVワクチンです。

鹿児島市立病院の総合周産期母子医療センター長の上塘正人医師です。ワクチンによる「予防が大切」と話します。

(上塘正人医師)「WHO(世界保健機構)の推定では、21世紀の間に子宮頚がんは根絶するのではないかと言われている。しかしながら日本では増え続けている、そういった予想からは程遠い状況が続いているのが現状」

国は2013年、HPVワクチンを小学6年から高校1年の女子を対象に、無料で受けられる定期接種を始めました。しかし、接種後、全身の痛みや失神などの副反応が疑われる報告があったことから、積極的な接種の呼びかけはわずか2か月で中止。

その後、厚生労働省はおととし「副反応のリスクを有効性が上回った」として、9年ぶりに“積極的な接種の呼びかけ″を再開しました。

厚生労働省のまとめでは、のべ1283万回あまりの接種で、副反応疑いの報告があったのは3993件で0.031%、うち重篤なケースは848件で0.007%でした。

予防接種による副反応が疑われる報告は、インフルエンザで0.00017%、新型コロナのファイザー社ワクチンで0.0005%。こどものおたふくかぜで0.012%です。

HPVワクチンは3回必要で、保険適用ではないため合計10万円ほどかかります。厚労省は、推奨を控えていた9年間に接種できなかった人を対象に、無料で受けられる「キャッチアップ接種」をおととしから行っています。しかし知らない人が多いのが現状です。

「なかなか接種が進まないと言われているHPVワクチン。街の人はどのくらい知っているのでしょうか?」

Q.HPVワクチン知ってる?
(18歳)「知らない」
(19歳)「知らない」「子宮のやつ?」

(18歳)「打った方がいいと言われていたから、打とうかなくらいで、行く日までは決まってない」

県内でおととし、キャッチアップ接種をした女性は全体の5.8パーセントで、全国平均を0.3ポイント下回っています。

今回接種した大学2年生の仮屋さんです。同世代の女性にキャッチアップ接種を知ってもらい、判断してほしいと話します。

(鹿児島国際大・仮屋佳奈さん)「私は看護学生として勉強したり、学校で講演会を聞いたりして、自分の中で子宮頸がんワクチンを受けることに対してメリットを感じたので、自分の判断で受けた。それを周りの友人とかにも伝えて、子宮頸がんワクチン接種が行われていることを知らせていきたい」

国が無料で行う「キャッチアップ接種」期間は来年3月までです。接種は3回必要で、完了までに半年ほどかかることから、9月までに1回目を終える必要があります。

専門家は、「打つかどうかは個人の判断」とした上で、取り組みを知ってほしいといいます。

(市立病院・上塘正人医師)「打つ打たないは自分の判断。ただ、知らない人があまりにも多い。将来的に自分で決定しましたよと、わかっておいていただかないと。打ちなさいとは言っていない。知ってください、打った方がいいですとはいう」

さらに、接種だけでなく、子宮頸がんの早期発見のための定期的な検診も大切だと訴えます。

(市立病院・上塘正人医師)「残念ながら今回のコロナ禍で検診を控えた人もいる。私の印象だが、進行したがんの方が多いような気がする。非常に心配になった。コロナが明けましたので、ぜひとも定期的に健診にきていただければと思う」

取り組みの期限が迫る中、多くの人に知ってもらい、自分ごととして考えてもらうことが大きなカギとなっています。

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