北薩横断道路の北薩トンネルでは、壁から水や土砂が噴き出すなどして通行止めとなっています。専門家らが30日に現地調査をし、湧き水による水圧などトンネルに何らかの力が加わった可能性を指摘しました。
(記者)「北薩トンネルの入口付近です。こちらでは異変は感じられませんが、県が要請した専門家らがこれから調査へ向かいます」
鹿児島県によりますと、出水市とさつま町にまたがる北薩横断道路の北薩トンネルでは、今月25日に地面から水が湧き出し、路面が浮き上がっているのが確認されました。その後も水の吹き出しや土砂の流れ込みが相次ぎ、その範囲は全長100メートルに広がっています。
北薩横断道路は、鹿児島空港から県北部の阿久根市を結ぶため、県が順次整備を進めていて、北薩トンネルは2018年に供用が始まった全長5キロ近くの、県内で最も長いトンネルです。
トンネル付近の高尾野インターとさつま泊野インターの間は、およそ14.5キロメールの区間で通行止めが続いています。
(近くの住民)「大きく迂回しないといけない。みんな言っているのは、早く直してくれということ。原因追究しないと対応のしようがないのだろう」
30日は国が派遣した道路管理の専門家ら7人が、トンネル内の現場を目視で調査したということです。
北薩トンネルでは、建設当初から出水市側で高濃度のヒ素を含む湧き水が発生するなどし、湧き水を抑制する対策工事が行われてきました。
専門家は「現時点では原因は分からない」としたうえで、湧き水による水圧など、トンネルに何らかの力が加わった可能性を指摘しました。
(九州地方整備局 安仲努道路保全企画官)「壁面に何らかの外力が加わって、例えば水圧などが加わって、崩壊した可能性。復旧のためには調査が必要か、検討が必要」
県は専門家らの意見をもとに、今後、原因の調査を進めるということで、復旧の見通しは立っていません。
また、出水市高尾野町の高尾野川では、26日から水が白く濁っているのが確認されています。
(近くの住民)「なにか工事しているのかなという感じ。もう色がこんなものじゃなかった。田んぼが白くなって」
県は「トンネル内から出てくる湧き水が川に流れていることが原因とみられる」としていて、濁りを抑えるため、土のうを積むなど対策を進めているということです。