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子どもたちを作文好きに!わくわく作文塾「もう一人の自分と対話して宝物を作ろう」“トトロ先生”が教える「マップ」と「付せん」の使い方

MBC南日本放送 2024年8月16日 19時34分

昨年度の全国学力学習状況調査結果の中から、小学生の国語の正答率を抜き出したものです。正答率が高い方から見ていきますと、「話すこと・聞くこと」そして「読むこと」です。

では低いのは何かというと、「書くこと」です。正答率は3割以下。全国的に「書くことが苦手」という子どもたちが多いことがうかがえます。

子どもたちに「楽しく書くこと」のコツを教える取り組みがあります。家庭へのアドバイスも聞いてきました。

子どもたちの興味をひく姿で登場した、『大好物は作文』という、トトロ先生。その正体は、鹿児島大学教育学部の原田義則准教授。元小学校の先生です。

(鹿児島大学教育学部 原田義則准教授)「県全体の子どもたちに書く力・書く機会を提供できないか」

2013年から始まった『わくわく作文塾』。開催しているのは、学校の先生や教職を目指す学生などでつくる「原国会」です。「国語の原点を追求したい」という意味が込められていて、原田さんが代表を務めます。

今月開かれたわくわく作文塾には、小中学生80人の募集に対して、およそ200人の応募がありました。

(小学3年生)
「文を長く書くのが得意じゃない」

「すらすら書けないので、少し叱られている」

(小学6年生)
「考えていることは頭に思うのに、あまり字にできない」

まず、いきなり原稿用紙に向かうのではなく、書きたいことを形にする「作文マップ」をつくります。

自分を主人公に、いつ、どこで、どんな体験をし、どんな気持ちだったか。また、その時に聞いたり、感じたりした、ミンミン、ザクザク、バタバタなどの「オノマトペ」も書いていきます。ここで活躍するのが、原国会の先生たち。大切にしているのは「対話」です。

(先生)「自分一人で練習してる?」
(こども)「おじいちゃんやお父さん」

(先生)「習い事してる?」
(こども)「陸上」

教える側も子どもと同じくらい真剣です。

先生たちは、定期的に集まって研修会を開き、授業の進め方、ノート作りの工夫など、どうすれば子どもたちが国語好きになるか、情報交換しています。

原田さんは、わくわく作文塾は先生たちのためでもあるといいます。

(鹿児島大学教育学部 原田義則准教授・原国会代表)「(先生は)初めて会うこどもたちからどうやって言葉を引き出すか、そのスキルは必ず教室に戻って役に立つ」

先生と話しながらマップを作った子どもたち。次に登場したのは付箋です。

起承転結をどう展開していくか、付箋に書き出すことで新しい見方、考え方が深まり、原稿用紙に向かいやすくなります。

(記者)「考えて組み立てたことをもとに、こどもたちは作文を書き進めています。中には途中手が止まってしまう子もいますが、先生のアドバイスを受けながら、一生懸命、手を動かしています」

始まる前、『書くことが得意ではない』と答えていた子どもたちも、熱心に原稿用紙と向き合います。少し自信がついたような表情です。

(小学3年)「楽しくなった。かぎかっこでメインにしたことを、来年の作文で書きたい」

およそ3時間で、作文を書き上げた子もいました。みんなの前で発表します。

(小学1年)「あ、たぬき!とぼくが言うと、たぬきはきょとん、とした顔でぼくの方を見た。まるで、なんですか、と言っているようだ。」

最後に、トトロ先生から、こんな言葉が送られました。

(鹿児島大学教育学部 原田義則准教授)「作文は自分の言葉で書くから『宝物』になっていく。自分の宝物を最後まで完成させてくれることを願っています」

(小学6年)「表現とか例え方の力がついた」

(小学2年)「学校の宿題の中に作文が6枚入っているから、(作文塾で)書いたことを写す」

夏休みも終盤。まだ作文を仕上げていない子どもたちのために、これから家庭でできることを原田さんに伺いました。

(鹿児島大学教育学部 原田義則准教授・原国会代表)「『自分の中で対話をしていく』ことが作文だが、子どもたちはまだもう一人の自分と対話をすることがうまくできない。保護者の方は『もう一人の自分』になるような対話をしてほしい」「ご家庭でもぜひ対話の相手になっていただければ」

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