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台風10号 22世帯28人「高齢集落」が孤立 残された89歳母のもとへチェーンソー手に倒木撤去 鹿児島・薩摩川内市

MBC南日本放送 2024年8月30日 19時40分

30日も台風10号の影響からです。薩摩川内市の山あいで、道路が倒木で通行できなくなり、集落が孤立しました。30日午後、倒木の撤去が完了し、孤立状態は解消されました。

集落につながる道を防ぐ10本ほどの倒木と、電柱。薩摩川内市によりますと、東郷町藤川で29日午前、市道脇の木が倒れているのを市の職員が見つけました。

現場は薩摩川内市の山あいの集落で臥龍梅で知られる藤川天神の近くです。本俣集落と榎段集落につながる道路が複数か所で寸断され22世帯28人が孤立しました。

倒れた木は電線も巻き込み、集落は停電が続いています。孤立した住民はほとんどが高齢者で、現場では午前、集落に残る家族を心配する人の姿がありました。

(田代真一さん)「お袋1人です、今。行こうと思っても行けない」

田代真一さん(63)。集落に1人で暮らす89歳の母親・ヨシ子さんのことを気にかけていました。

(田代真一さん)「前から危ないところだった。よく崩れる」「食料はある程度準備していたが、電気がなく、まわりの状況がつかめない」

そして…。

(記者)「午前11時すぎです。倒木の撤去が始まりました」

雨が降り続く中、地元の建設会社に混じって田代さんもチェーンソーを手に、倒木を撤去すること1時間半。午後0時半すぎ、孤立状態が解消されました。田代さんは早速、母親・ヨシ子さんのもとへ。

(田代ヨシ子さん)「車通れたの?」

(田代真一さん)「今、撤去作業してきた」「ここが孤立したと知らなかった(停電で)テレビが映らないから」

ヨシ子さんは9年前に夫を亡くし、1人で暮らしています。断水が続く上、停電で電気はつかず、懐中電灯で一夜を明かしました。集落は1997年の県北西部地震でも孤立しました。田代さんは、毎回、台風が来る前には実家を訪れ、食料を備蓄しています。

(田代ヨシ子さん)「1週間分のラーメン、バナナとか」「備えだけは困らないように準備している」

集落に目立った被害はなかったものの、停電の解消はしばらく時間がかかる見通しです。

(田代真一さん)「私の家に連れて行きます。電気ないと大変だから」

地質学が専門の井村隆介准教授が30日、現場を訪れました。大雨のあとは土砂災害にしばらく警戒が必要といいます。

(鹿児島大学・地質学 井村隆介准教授)「このあたりはシラス。県内は土砂災害の警戒が必要だと知っておいてほしい」

台風10号は県内から遠ざかりつつありますが各地で影響が残っています。

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