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“宇宙に近い鹿児島” 宇宙関連ビジネスに熱視線 IT産業に続く成長市場も課題が…

MBC南日本放送 2024年9月12日 20時17分

きょう9月12日は「宇宙の日」。皆さんご存知でしょうか?宇宙飛行士の毛利衛さんが1992年、日本人で初めてスペースシャトルで宇宙へ飛び立った日にちなんでいます。

種子島と肝付町に基幹ロケットの打ち上げ施設があり、「宇宙に近い県」とも言われる鹿児島。IT産業に続く成長市場として、今、宇宙関連ビジネスが注目されています。

(元宇宙飛行士・山崎直子さん)「日本の経済にとってビタミン剤になり得る。ただ、最近ではビタミン剤どころではなく、宇宙産業自体が一つの骨幹の産業になると期待している」

元宇宙飛行士で、父親が鹿児島県鹿屋市出身の山崎直子さん。2010年、アメリカ・NASAのスペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗し、ミッションに参加しました。今は、宇宙ビジネスの発展を目指す団体「スペースポートジャパン」の代表を務めています。

(元宇宙飛行士・山崎直子さん)「すそ野が広くなってくる。ロケット、人工衛星、データをどう私たちの社会と結びつけていくか。今後は宇宙旅行や人が宇宙に行くことによる衣食住、すべて含めて宇宙ビジネスと関わってくる」

そもそも宇宙ビジネスとは、ロケットや人工衛星の打ち上げだけではなく、人工衛星を活用した高精度な位置情報や気象情報など分野は幅広く、IT産業に続く成長市場として注目されています。

国によりますと、おととし54兆円だった世界の市場規模は、2040年には140兆円に拡大すると試算されています。

鹿児島では今年度、種子島と肝付町で昨年度を上回るあわせて8基のロケットの打ち上げが計画されています。

成長する宇宙ビジネスに挑戦する企業があります。

(記者)「鹿児島から宇宙を目指しているという工場。最先端の技術が詰まっています」

霧島市の「鹿児島精機」です。半導体の製造装置の部品から聴診器のパーツまで、1万種類・およそ50万点の精密部品を作っています。

(鹿児島精機 德永佑太さん)「図面通り加工するためプログラムを入力して、1ミクロン単位の誤差がない加工を行っている」
「(Q.1ミクロンはどのくらい?)髪の毛の太さの100分の1」

精密機器の製造ノウハウを新たなビジネスにつなげようと、去年、宇宙関連企業が集まるアメリカの展示会に初めて参加しました。

(鹿児島精機・海外営業担当 坂下亘貴さん)「宇宙産業が盛んだと展示会に行くたびに感じている。精密機械部品製造企業として、どう参入していけるか。手探りだが模索している」

商談がまとまったアメリカの宇宙関連企業に部品の供給を今年からスタート。ロケット打ち上げ拠点がある鹿児島の「地の利」を生かし、将来はロケットの部品なども手がけたいと話します。

(鹿児島精機・海外営業担当 坂下亘貴さん)「10年前はスマートフォンは使っていなかった。宇宙も今は身近に感じていないかもしれないが、10年後はもっと身近に感じている可能性がある市場。今のうちから早い段階で少しでも関わっていけたらいい」

鹿児島の企業も熱い視線を送る宇宙ビジネス。北九州市で開かれた宇宙関連事業をテーマのイベントに、鹿児島からも…。

(南さつま市の電子機器製造エルム 和田健吾取締役)「昨今、宇宙事業は非常に盛り上がってきている。この中で私たちもビジネスの機会を広げていこうと考えている」

鹿児島県もものづくり企業の参入を後押ししようと、産学官連携のブースを出展しました。しかし、多額の投資や専門のノウハウが必要なだけに、課題もあります。

(県新産業創出室 堀口俊尚室長)「ロケットの打ち上げが行われていて『宇宙に近い県』と言われているが、宇宙産業という面では十分に発展、成長できていない。『宇宙県』と言われる鹿児島で宇宙ビジネスの創出や振興を図っていきたい」

成長する宇宙ビジネスの波に乗ることができるか?“宇宙に近い”鹿児島で挑戦が始まっています。

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