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最低賃金が過去最大の引き上げ「利益圧迫」経営者から不安の声 仕入れ値高騰も追い打ち 鹿児島

MBC南日本放送 2024年10月7日 19時54分

最低賃金が改定され、鹿児島県内では過去最高となる56円アップの953円に引き上げられました。歓迎の声も聞かれる一方で、人件費の上昇や物価の高騰を受けて、経営者からは影響や不安の声があがっています。

「最低賃金」は企業が労働者に最低限支払わなければならない賃金で、鹿児島は今月5日、897円から953円に引き上げられました。

こちらは県内の最低賃金の推移を示したグラフです。

近年、引き上げ幅は年々大きくなっています。今回は56円の引き上げで、過去最高の上げ幅となりました。

(記者)「最低賃金の改定で鹿児島は953円に。街の人はどう感じているのでしょうか?」

(飲食店アルバイト10代)「(賃金は)少しでも増えたほうが良いので、引き上げは楽しみ」

(アパレル店アルバイト10代)「うれしいけれど、東京は1000円を超えるので1000円はほしい」

歓迎の声が聞かれる一方で、事業者からは懸念の声も上がっています。

(SA・MURAI 福元龍一オーナー)「やっと来たかと。ネットニュースで全国で上がっている中で、鹿児島もですよねと」

鹿児島市の飲食店です。オーナーの福元龍一さんは、市内で飲食店を3店舗経営し、平日は2~3人、週末は5~6人のアルバイトを雇っています。

時給はこれまで900円でしたが、今回、960円に引き上げました。人件費は従来より1割ほど上がるとみていて、食料品などの仕入れ価格の高騰も追い打ちをかけています。

(SA・MURAI 福元龍一オーナー)「最低賃金だけ上がるのは、世の中にとってはいいと思うけど、店の売り上げが一緒に上昇するかというと、そうではない。利益を圧迫するので、心して営業していかないとと思う」

飲食店や福祉施設などを経営指導する勝田正志さんです。最低賃金引き上げが、経営を圧迫する懸念もある中、経営側に求められることになるのが、値上げと企業の生産性アップです。

(勝田正志さん)「小売店や飲食店であれば値段を上げていくことを考えないといけない。客とのコミュニケーション取って、分かってもらうことも必要。補助金を活用しながら労働生産性を上げるような取り組みも検討する必要もある」

また、勝田さんが不安視するのが、いわゆる「年収130万円の壁」による働き控えです。

「130万円の壁」とは配偶者の扶養に入っている人が、年収130万円を超えると扶養を外れ、社会保険料を支払い、手取りが減るため、130万円を超えないように働くことです。

(勝田正志さん)「できるだけ(130万円に)近づけて、超えないところで働いていたケースが多い。1時間の賃金が上がることで働ける年間の時間は少なくなると思う。シミュレートしていく必要がある」

働く人から歓迎の声が上がる最低賃金の引き上げ。一方で、雇用する側は人件費の上昇に物価高騰と、課題を抱えたままのスタートとなりました。

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