奄美南部では9日、線状降水帯が発生し、与論町に大雨特別警報が出されるなど記録的な大雨となりました。建物や道路の通行止めのほか、農業被害も明らかになっています。
与論町付近では9日未明、1時間におよそ120ミリの猛烈な雨が降ったとして記録的短時間大雨情報が発表されました。その後、大雨警戒レベルで最高の「レベル5」に相当する大雨特別警報も発表。
7日の降り始めから10日夜までの雨量は与論町で666ミリと、1年間に降る雨の3分の1にあたり、72時間雨量が観測史上1位となりました。
5000人余りが暮らす与論島。商店や住宅が並ぶ茶花地区は、いたるところで冠水。コンテナが流れ一時、道路を塞ぎました。
(ショッピングプラザトップ 志摩晴文オーナー)「いやすごいなと思いました。コンテナが移動するのだと、それぐらい水があふれたのかと思って」
床から1メートルほどが水に浸かったこちらの商店では…
(ホームセンター7 原田美奈代さん)「(商品を)上げていたけど、下から水を吸い上げてしまって全部だめになってしまった」
近所の高校生などが手伝い、後片付けに追われていました。
(記者)「牛小屋が水没しているのが分かります。半分以上浸かった牛を生産者が200メートル先に避難させたということです」
畜産農家と近くの住民が協力して、水没した小屋から牛23頭を避難させました。
(畜産農家・里理恵さん)「(牛が)泳いでいる状態。一番は人命だが、牛も助かって良かった」
鹿児島県によりますと、これまでに分かっている被害は、与論町や和泊町で床上・床下浸水あわせて37棟、がけ崩れ1か所、土砂崩れにより県道や町道の一部が通行止めとなっています。
また、与論町によりますと、収穫前のサトウキビやいんげん豆などが水に浸り、被害額は1000万円を超えるおそれがあるということです。
県と与論町は、引き続き被害の調査を進めています。