鹿児島県警は14日、新たに県内で被害が確認されたうそ電話詐欺やSNS型の詐欺の手口を公表しました。SNSでの副業収入の呼びかけからだまされるケースが増えていて注意が必要です。
県警によりますと、県内でことし1月から9月末までに確認されたうそ電話詐欺やSNS型詐欺は260件で、被害額はおよそ14億1700万円です。
県内で実際にことし発生した詐欺の事例です。
【被害1】架空料金請求詐欺
50代女性は10月中旬、TikTokで「1日3万円稼げる」と表示された副業の広告をタップし、担当者とLINEでやりとりをはじめました。女性は担当者から指示され動画を閲覧したところ、少額の報酬がPayPayに入金されたため副業を信用しました。
その後、担当者から「振込金額に応じて賞金がもらえる副業」を紹介され、賞金がもらえると信じて、担当者から指示されたとおり、賞金額が表示されるサイトをスマートフォンに登録。指定された口座に17回ほどあわせておよそ1900万円を振り込み、だまし取られました。
【被害2】架空料金請求詐欺
20代女性は7月上旬、YouTubeを閲覧中に表示された副業広告をタップし、「写真をタップしただけで収入が得られる」との表示を見て副業を申し込み、担当者にLINEで指示されたとおり副業サイトに登録しました。
女性がサイトに表示された写真をタップしたところ、実際に女性名義の口座に3万円が振り込まれたことから、女性は副業を信用しました。
女性は担当者からLINEで「今後は有料のサポートが必要」といわれ、150万円のプランの申し込みを指示され、指定された口座に3回ほど、あわせておよそ160万円を振り込みだまし取られました。
県警は架空料金請求詐欺について、スマートフォンで見つけた副業広告から詐欺に遭う被害が多発しているとして、「簡単に稼げる」「もうかる」といったことを強調する広告は詐欺の可能性があるとしています。
また、副業を始める前に支払いを求められる場合や、消費者金融のサイトで借り入れたお金を振り込ませる場合も詐欺の可能性があるとして、鵜呑みにしないよう呼びかけています。
【被害3】オレオレ詐欺
70代男性は7月下旬、自宅に『総務省職員』を名乗る男から電話があり、「この電話は2時間後に止まる。そうならないように警察に電話をしておく」などと言われました。
その後、『警視庁のキムラ』を名乗る男から電話があり、「あなたは詐欺グルーブの犯人で、大金を持って鹿児島県に逃げたことになっている」と説明を受け、『キムラ』に自分の銀行口座や口座の残高を教えました。
男性は『キムラ』からLINEで警察手帳などの写真が送られてきたことで、『キムラ』が警察官であると信用しました。
『キムラ』は「あなたの潔白を証明するために、銀行口座からお金を全額引き出して紙幣番号などを金融庁で調査する必要がある」などといい、男性は無実を証明してもらうために、指定された東京都内の住所におよそ470万円を送り、だまし取られました。
県警は、総務省や警察官をかたる『オレオレ詐欺』が多発していて、「警察官や検察官が現金の振込みや送付を指示することは絶対になく、LINE等のSNSで警察手帳などの画像を送信したり、事情聴取を行うことも絶対にない」として、指示された場合は詐欺と疑い、警察や家族などに相談するよう呼びかけています。
【被害4】SNS投資型詐欺
60代男性は6月中旬、スマートフォンでニュースを閲覧中、表示されたURLをタップしたところ、有名タレント2人が対談している無音声の動画が表示され、その動画では「たった3万7000円を投資すれば必ず利益が出る」などと字幕が表示され、男性はタレント2人が実際に話している内容だと信じました。そして、このサイトが指定した口座におよそ4万円を送金しました。
10月中旬、男性のスマートフォンに『投資会社』を名乗る男から電話がきて、「あなたから預かったお金が1400万円になった。あなたの口座に送金しようとしたが、外国通貨で運用しているので日本政府から凍結されて送金できない」と言われ、その後、『凍結解除会社』を名乗る男から電話で「凍結を解除するためには指示された口座にお金を振り込む必要がある」と言われました。
男性は1400万円を受け取ることができるものと信じ、相手が指定した口座に2回ほど、あわせておよそ300万円を振り込み、だましとられました。
県警は、マッチングアプリやSNSでやり取りをする中で投資などのもうけ話を持ち掛け、現金や暗号資産をだまし取る詐欺が多発しているとしています。
相手から指定される振込先口座は「依頼人や指南役などの名前とは異なる個人名義や法人名義」「アジア系外国人名義」「口座が度々変わる」などの特徴があるとして、会ったことのない相手からの現金の要求やもうけ話は詐欺と疑い、警察や家族などに相談するよう呼びかけています。