今月10日に告示された鹿児島県伊佐市の市長選挙は、17日・日曜日が投開票です。
伊佐市長選挙に立候補したのは届け出順に、現職で2期目を目指す橋本欣也さん、新人で元市議会議員の森山良和さん、新人で元市議会議員の遠矢寿子さんの3人でいずれも無所属です。
特別支援学校が設置予定の伊佐市で発達障害の子どもを育てる家庭や、県内一のコメの産地の農家の話から市の課題を考えます。
伊佐市大口の小学3年生・川野幸太朗君です。幼いころに発達障害と診断され、じっとしていることが苦手な注意欠陥多動性などの症状があります。
(川野幸太朗君)「まだ眠たい」
(父・幸生さん)(Q.どんな息子さん?)元気いっぱい。真面目かな?」
幸太朗君は小学6年生の兄・蓮君と両親の4人家族です。毎朝7時すぎ、近所の小学校に通う蓮君を見送ったあと、母親が運転する車で自宅近くのバス停へ。
スクールバスで、出水市の出水特別支援学校に通っています。バスに揺られること40分。学校に到着です。
Q.バスはどうだった?
(川野幸太朗君)「まぁまぁ長い」
出水特別支援学校に通う257人のうち、バス通学は194人。このうち、40人が伊佐市から通っています。
県内には16の特別支援学校があり、1755人の子どもたちがスクールバスを利用しています。このうち、全体の25%にあたる431人が1時間以上の「長時間通学」をしています。
「長時間通学」を解消しようと、幸太朗君の母・理沙さんは2016年に立ち上げられた「伊佐市に新しい特別支援学校をつくる会」に参加し、県に設置を求めてきました。
(幸太朗君の母・理沙さん)「住んでいる地域の小学校に行けないのはどうしてかと感じていて」
(伊佐市に新しい特別支援学校をつくる会 大谷暁子代表)「雨で土砂崩れが起きたり、冬場は雪が降って凍結したり、休校になることも多い。体調不良があったときに連絡が来て、迎えに行くのが大変」
県は今年9月、伊佐市の旧大口南中学校の敷地内に特別支援学校を設置すると発表。2029年4月の開校を目指しています。幸太朗君の自宅からは車で5分以内で、中学部3年生から通えることになります。
Q.家の近くに学校ができるって聞いたときどう思った?
(幸太朗君と母・理沙さん)「感動した」
新しい特別支援学校には小学部と中学部、高等部を設置し、伊佐市と湧水町、さつま町、薩摩川内市祁答院町、霧島市横川町に住む知的障害や体に障害がある子どもたちを受け入れます。
県が整備・運営する特別支援学校の設置について、伊佐市長選の候補者は…
(橋本欣也候補 無・現(1))「工事が遅れないようにするためスピード感を持ってやらなければならない。市の役割は大きい。しっかり進めるために、今の流れをずっと見てきた私でなければできない。信念を持って頑張りたい」
(森山良和候補 無・新)「とてもうれしく思っている。卒業したあとに学びの場が増えていくよう、仕事としてもこのまちで生活していける環境づくりが必要。市としても人に優しい福祉のまちづくりも大切だと思う」
(遠矢寿子候補 無・新)「決まったことは良かった。できる範囲で市も支援して環境を整えていく。できたら教職員が伊佐市に住んでもらえるよう、住宅のサポートも考えていけたらいい」
伊佐市の人口は2001年に3万3172人でしたが、去年は2万2701人と、この20年近くでおよそ1万人減りました。人口減少対策や障害児支援のほかにも、市はさまざまな課題に直面しています。