「ちょっと」という言葉、よく使いますよね。友人と約束して遅れそうな時に、「ごめん、ちょっと待ってて」なんて、言いますよね。
でもよく考えると、「ちょっと待って」とは、具体的にはどのくらいの時間なのか?ふとした疑問をきっかけに自由研究に取り組んだ小学生が鹿児島県姶良市にいます。
普段よく使う「ちょっと待って」という言葉。街の人はどれくらいの時間をイメージしているのでしょうか?
Q.『ちょっと待ってください』と言われて、どれくらいなら待てますか」
(70代女性)「5分?」
(30代男性)「5分くらい」
(40代男性)「5分くらい。あんまりながいと”ちょっと”じゃないだろう」
(20代女性)「5分とか。5分~10分くらい。”ちょっと”だから10分は長いかな」
街では「5分くらい」と答える人が多かったものの、明確な答えのない、「ちょっと待って」のイメージ。それを調べたのが…
姶良市立柁城小学校3年生の川村総一郎君(9)です。総一郎君が夏休みの自由研究で行ったのが、「”ちょっと”の時間はどのくらい???」と題した、”ちょっと”の研究です。
(川村総一郎くん)「”ちょっと”という言葉を使っていて、”ちょっと”が思いついたので”ちょっと”はどれくらい?を調べた」
慣れないインタビューに緊張しつつも、教室に戻ると、こっそりピースするお茶目な一面を見せてくれた総一郎君。
自由研究では、”ちょっと”を調べるため、学校で使うタブレットでクラスメイトにアンケートをとったり、家族の協力をもらいLINEや電話で集めたりして、10~70代まであわせて135人のデータを収集。
その結果は以下の通りです。
【みんなが答えた時間と人数】
・30秒以内 8人
・1~2分 22人
・2~3分 25人
・3~4分 7人
・5分 41人
・5~10分 16人
・10分 4人
・10~15分 3人
・15分 3人
・20分 2人
・30分 4人
【年代別の平均】
・6~9歳 平均4分43秒
・10~19歳 平均7分7秒
・20~29歳 サンプル無し
・30~39歳 4分20秒
・40~49歳 4分30秒
・50~59歳 5分38秒
・60~69歳 7分30秒
・70~79歳 3分30秒
分析の結果、”ちょっと”の平均は、街の声とほぼ同じ5分27秒でした。
(川村総一郎くん)「結構、長いと思った」
調査結果は時間ごとに棒グラフで示し、最も多かった回答部分のグラフの色を変えたり、イラストを加えたりと、分かりやすく見せる工夫をしています。
「感想」の欄を見ると、「いろんな時間の感覚があるので、あまり待たせないようにしたいです」と、総一郎君自身に新たな気づきもあったようです
こうしたユニークな着眼点が評価され、県内の子どもたちが参加する、「県統計グラフコンクール」3・4年生の部で、今年度、74作品の中から最高賞の特選に選ばれました。
(川村総一郎君)「はじめはびっくりしてて…それからどんどん緊張していって…うれしかった」
総一郎君が導き出した「ちょっと」の答え。専門家はどう見るか?日本時間学会会長で千葉大学の一川誠教授に一緒に聞いてみると…。
(時間学会学長・千葉大学 一川誠教授)「おもしろいテーマだと思います」「シチュエーションとか場合とかによって“ちょっと”はかなり変わるので、どのくらいを想定してるか調べたのはおもしろいと思う。」
(川村総一郎君)「タブレットでアンケートを出した方が早いので、先生に頼んでアンケートをとった」
(千葉大学 一川誠教授)「日常生活で感じた疑問を、タブレットとか使って調べてみるのはとても面白い。これからも疑問に思うことがあればいろいろ調べてみたらいいんじゃないかな」
母・真里さんによると、「普段から分からないことがあると、よく質問をしている」という総一郎君。その探求心もあって、放課後は、剣道、空手、そろばん、習字と4つの習い事に自ら通い始め、大忙しです。
(母・真里さん)「夢は何個あってもいいし、いつでも叶えられる。やりたいことをやってもらえればいいなと思う」
“紙飛行機の飛び方”も調べてみたいという総一郎くん。最後に将来の夢を聞いてみると…。
(川村総一郎君)「Vチューバーと野球選手です」
Q.野球はやってるの?
「いいえ」
あくなきチャレンジ精神を胸に、総一郎君は「探求の道」を歩み続けます。