(キャスター)鹿児島市長選挙について担当記者とお伝えします。現職の下鶴隆央さんが、新人の桂田美智子さんに大差をつけて2期目の当選を果たした今回の結果をどう見ますか?
(記者)改めて得票数を見てみます。下鶴さんが、桂田さんに8万8000票余りの差をつけ、得票率も8割を超えて、2期目の当選を果たしました。
下鶴さんは政党から推薦を受けていませんが、24日、下鶴さんの事務所には自民党の国会議員や市議らの姿が多くみられました。
桂田さんは、擁立した市民団体が立憲民主党と社民党に推薦依頼をしましたが断られるなど、支持拡大に課題がありました。
この4年間の下鶴市政の評価がポイントとなった選挙で、得票率だけを見れば「一定の評価を受けた」と言えると思います。
(2期目の当選・下鶴隆央氏)「市民や職員とともに取り組んできた1期4年間の成果の評価をいただいた。また、人口減少を乗り越えるビジョンについて評価をいただいたものと考えている」
(落選・桂田美智子氏)「国政との兼ね合いの中で、非常にやはり厳しい野党共闘の現状がある。幅広いところへの呼びかけが弱かったのではないか」
(キャスター)今回の選挙は、投票率が低い結果となりました。投票率は27.21%で、4年前の前回の38.16%を10.95ポイント下回り、過去3番目の低さとなりました。
また、九州各県の県庁所在地で行われた直近の市長選挙で見てみると、無投票だった大分を除けば、最も低かった熊本の28.26%をさらに下回り、最も低い結果となりました。
背景について政治学の専門家は、下鶴さんの1期目で大きなミスがなかったことに加え、桂田さんが候補地で迷走したスタジアム問題でも対立軸を示せなかったことを要因に挙げています。
(鹿児島大学 藤村一郎准教授)「投票率そのものが低いので、完全に信任されたというのは言い過ぎだとは思うが、下鶴さん以外にいなかったという結果なのかなと思う。対抗馬の桂田さんの立場は(スタジアム整備自体に)反対ではない。(整備の)主体を誰にするのかという話も具体的なところがなかった。有効な対立軸に持っていけなかった」
(キャスター)今回の選挙で、スタジアム整備については、関心が集まっていましたか?
(記者)情勢調査では、投票する際に最も重視する政策を尋ねましたが、物価高対策や経済・産業振興などに比べ、スタジアムは3%ほどにとどまり、関心の低さが浮き彫りとなりました。しかし一方で専門家は、スタジアム整備に向けた今後のかじ取りは、難しさを増すと指摘しています。
(鹿児島大学 藤村一郎准教授)「長崎の話が出てきたが、予算は1000億円と聞いているが、これと同じようなものが鹿児島では難しい。小さいながらに鹿児島の活性化につながり、スポーツチームを育成していくことが本当に可能なのかどうか。大変難しい構想、選択になっていくと思う」
(記者)スタジアム整備では、県と市の連携不足がたびたび指摘されますが、24日、下鶴さんの事務所には塩田知事もあいさつに訪れる姿も見られました。
県と連携しながらどのように構想を前に進めていくのか、下鶴さんの手腕が試されます。