中東シリアで長く続いたアサド政権が崩壊しました。独裁体制を続けてきた政権から解放された一方で、政情が今後安定に向かうかは、不透明なままです。
県内に住むシリア人の女性に、いまの思いを聞きました。
(マイサム・スレイウェルさん)「みんなは優しい、面白い、かわいい」
鹿児島市に住むシリア出身のマイサム・スレイウェルさん(35)です。おととし来日し、美容やビジネスを学ぶ専門学校で、英語を教えています。
(美容を学ぶ学生)
「ゲームをしながら楽しく教えてくれる。
「優しくて、とてもかわいい」
Q.それなら英語の成績も
「YES」
(マイサム・スレイウェルさん)「英語は、卒業したらどうやってお客さんと会話するかを教えている」
母国、シリアの情勢が急展開したのは、今月8日、父と子の2代で50年以上続いた独裁体制アサド政権の「崩壊」を反体制派勢力が宣言しました。
(マイサム・スレイウェルさん)「ニュースはみんなびっくりした。信じられなかった。みんな(崩壊を)待っていた。(政権が)倒れたので、幸せでした」
首都ダマスカス近くのまち、ドゥーマで生まれ育ったスレイウェルさん。大きな転機は、2010年末からアラブ諸国に広がった民主化と自由を求める運動、「アラブの春」でした。
シリアでも2011年に反体制デモが始まって以降、アサド政権の弾圧が激しさを増したと言います。
(マイサム・スレイウェルさん)「(近所でも)たくさん男性が連れて行かれた。刑務所に。(自分たちも)本当に危なかった。」
父親のいとこはデモで負傷した人を治療したとして、10年以上刑務所にいましたが今回の政権崩壊をうけ解放されました。拷問を受けた体は衰弱していたと言います。
(マイサム・スレイウェルさん)「12年以上(刑務所にいた)。左の目はない、腕はとても細い」
スレイウェルさん家族は、2012年にトルコに逃れました。いま、両親と鹿児島市で暮らし、2人の弟も日本で大学や日本語学校に通っています。
将来はシリアに、学校を作りたいと話すスレイウェルさん。ふるさとの政情が安定するかは見通せませんが、国の将来に希望を抱いています。
(マイサム・スレイウェルさん)「心配ですが、私たちはみんなシリア人。キリスト教、スンニ派、アラウィ派もみんなシリア人なので、みんなシリアのために働きます。まだはっきりわからないけど、みんな(そういう将来が)ほしい」
今後の母国の情勢の行方に、懸念と希望が交錯しています。