鹿児島と屋久島を結ぶ「フェリー屋久島2」がエンジンの故障で運休してから、2か月半が経ちます。運航再開の時期が見通せない中、今、何が起きているのでしょうか?
(記者)「私は今、鹿児島本港の南ふ頭にいます。後ろにあるのが、2か月半、修理のため停泊したままの『フェリー屋久島2』です。島の生活、産業を支える航路を巡って、今、新たな課題も浮上しています」
1993年に就航した折田汽船運航の「フェリー屋久島2」。鹿児島との間を1日1往復し、年間利用者数は4万8千人余り、島の貨物の6割を取り扱っています。
しかし今年10月の点検で、エンジンの回転を落とす「減速機」とエンジンの接続部分にあるゴム製の部品に亀裂が見つかり、運休。
関係者によりますと、就航から31年が経って部品の在庫が国内に無く、部品製造の特許を持っているオーストリアの企業に発注したものの、具体的な納入時期は決まっていません。
長引く運休で、島の物流に影響が出ています。
(住民)「インターネットで注文した荷物が届かない。通販が2~3週間かかる」
(住民)「野菜・肉も欠航が続くと不足していく」
影響は屋久島の特産品にも。島ではこれからポンカンに続いて、2月にタンカンがシーズンを迎え、県内外に出荷されます。しかし…。
(JA種子屋久・屋久島支所 鎌田忠明経済課長)「タンカンはポンカンに比べて7~8倍の出荷量。現状の船の体制では、おそらく輸送ロスが出る」
問題は「物流」だけではありません。現在、フェリー屋久島2の運休に伴って、いわさきグループの種子島航路の貨物フェリー「ぶーげんびりあ」が屋久島へ週3回、臨時運航しています。
一方で、「民間任せではなく、本来は行政が臨時船をチャーターし、運航コストを負担すべき」との声も上がっていて、コストをどう負担すべきか、新たな課題となっています。
こうした中、今月18日、臨時船のコスト負担をめぐり、町の担当者と議員が鹿児島県や事業者と意見を交わしました。
(屋久島町議会 大角利成議員)「(協力を)期待して来たが…県は関係機関と協議し、前向きに対処するという言葉だけをいただいた」
Q.県の具体的な回答は?
(屋久島町議会 大角利成議員)「今回はございませんでした」
しかし、仮にコスト負担の問題が解決したとしても、今、臨時運航している貨物フェリーは、今後、自衛隊基地整備が進む馬毛島への物資輸送に投入される可能性もあり、屋久島に寄港を続けられるかは不透明です。
輸送手段が限られる離島航路。屋久島で起きたような問題は、全国どこでも起こり得ることです。これから春の転勤、引っ越しのシーズンを迎える中、官民一体となった早急な対応が求められます。