アトラス彗星(C/2024 G3)
『アトラス彗星』は去年2024年に発見された彗星です。小惑星センターのコードでは【C/2024 G3 ATLAS】と表され、その撮影にMBC気象予報士 亀田晃一が成功しました。
今月下旬にかけて日没直後、南西~西南西の低い空に条件が良ければ、見られるかもしれません。
2024年9月末~10月中旬『紫金山・アトラス彗星』が日本各地で見られました。
この『紫金山・アトラス彗星』は【C/2023 A3 Tsuchinshan-ATLAS】という彗星で、アトラスという名が付きますが、今回の『アトラス彗星』とは別の彗星でした。
《紫金山・アトラス彗星はこちら》
【彗星】の名前の付け方
国立天文台によれば
「『彗星』が新しく発見された場合、自動的に発見者の名前が付けられ、発見した順に3人まで名前が付きます。」とのことでした。
「アトラス」さんが、この2つの彗星を発見したのかと思いきや、実は「アトラス(ATLAS)」というのは人の名前ではなく、日本語で【小惑星地球衝突最終警報システム】と呼ばれ、ハワイ大学天文学研究所(IfA)が開発・運用しているシステムでした。
「アトラス(ATLAS)」について
「アトラス(ATLAS)」はAsteroid Terrestrial-impact Last Alert System の略称で、日本語に訳すと【小惑星地球衝突最終警報システム】となります。地球の近くにある小さな天体の観測(掃天観測)を行い、地球に衝突するおそれがあるときには、早期に警告するシステムのことです。
ATLASは、4 つの望遠鏡 (ハワイ ×2、チリ、南アフリカ) で構成され、移動する物体を探すために毎晩数回全天を自動的にスキャンします。
ATLASは、廃棄衛星など宇宙ゴミの追跡・監視にも使われています。低軌道(地上から約200~2000キロメートル)にある直径 10 cmの物体を観測でき、静止軌道(地上から36000キロメートル)にある直径約 60 cmの物体を検出できます。月までの距離の1/10にある大きなビーチボールほどの大きさのものを検出できる高い精度を持っています。ATLAS は物体の動きを観測するため、地球を周回する宇宙ゴミと太陽を周回する小惑星をすばやく区別できます。
2024年に見られた【紫金山・アトラス彗星】は、この『アトラス(ATLAS)』と中国の天文台『紫金山天文台』が発見し、『紫金山天文台』の方が先に発見したので【紫金山・アトラス彗星】という名になりました。
『アトラス』と名の付く彗星はたくさんある
「アトラス(ATLAS)」は装置による観測のため、人の目による観測よりも彗星を見つけやすく、【アトラス(ATLAS)彗星】で検索するとたくさんの彗星の名前が表示され、発見年をベースとしたコード番号で区別されています。
世界で未発見の彗星を見つけようと観察を続けている人たち=コメットハンター(comet hunter)にとっては、いわば敵とも言える存在です。
次にみられる彗星は?
今年の11月に【クリステンセン彗星】が接近します。
大型望遠鏡なら観測できるかもしれません。それほど明るくないので、お近くの天文台などの観測会を利用するのも良さそうです。