インフルエンザの流行発生警報が続く中、去年末は1週間で8500人を超え、過去最多となりました。鹿児島大学病院では重症患者の受け入れが急増し、集中治療室=ICUが一時、ひっ迫する事態が起きていました。
「運ばれてきた時には、ほとんど肺の機能がなかった」
鹿児島大学病院救命救急センターです。新型コロナの治療でも欠かせない、人間の肺のかわりを担う装置「ECMO(エクモ)」につながれた患者。
インフルエンザが悪化して重度の肺炎を起こした50代女性です。
今月中旬に発熱し、自宅で療養していましたが、その後、肺炎が悪化して今月21日に鹿児島大学病院に搬送されました。女性に持病はありませんでした。
(鹿児島大学病院 垣花泰之・救命救急センター長)「運ばれてきた時には、ほとんど肺の機能がなかった」
例年にない異変…
救命救急センター長の垣花泰之教授です。この冬、病棟では例年にない「異変」が起きているといいます。
(鹿児島大学病院 垣花泰之・救命救急センター長)「インフルエンザでこれほど重症患者が増えたのは、今までに経験がない」
(記者)「重症患者を受け入れる病床が14ありますが、埋まり、ひっ迫した時期もありました」
昨シーズン、鹿児島大学病院では、インフルエンザにより肺炎などが悪化して入院した患者は25人でしたが、この冬は72人と3倍近くに達しました。
中でも重篤な患者を受け入れる集中治療室=ICUには、県内で感染者が過去最多となった直後の年明けから今月15日にかけて5人の患者が入りました。
同じタイミングで新型コロナの重症患者なども増え、14室あるICUが一時、ほとんど埋まったといいます。
(鹿児島大学病院 垣花泰之・救命救急センター長)「鹿児島県内の他の医療機関も、コロナ、インフルエンザの患者が非常に多く、病床が埋まってしまうため、受け入れられないと聞いた」
「2022年、23年にコロナ(の感染拡大)ですごく大変な状況があったが、全く同じようなことが起きていた」
教授の「推論」は
なぜインフルエンザの重症患者が急増したのか?垣花教授が考える要因の1つが、ワクチン接種です。
(鹿児島大学病院 垣花泰之・救命救急センター長)「ある程度コロナがおさまってきて、ワクチンを接種しなくなってきた人が多いと思う」
「インフルエンザのワクチンを受ける人も少なくなってきたような印象」
垣花教授は、あくまで「推論」とした上で、インフルエンザの重症化を防ぐワクチンを接種する人が減っているのではないか、とみています。
(鹿児島大学病院 垣花泰之・救命救急センター長)「40代でも重症化して入院している人はいたので、若いから元気だからといって安易に考えてはいけないと思う」
例年、3月までが流行のシーズンとされるインフルエンザ。地域の医療を守るためにも、感染を防ぐ心がけが必要です。
重症化を防ぐインフルエンザワクチン接種は医療機関で受け付けています。