育児に積極的に参加する父親=イクメンという言葉も珍しくなくなりました。鹿児島県内の市町村の男性職員の育休取得率は年々増えていて、昨年度は45.3%でした。
奄美市で育児休業中の父親に密着しました。目標は6か月の娘の「寝かしつけ」です。
奄美市役所笠利総合支所で土地の境界などの地籍調査を行っている、武田桂さん(29)です。これから1か月あまり、育児休業=育休を取ります。
(武田桂さん)「あすから全力でお父さんを頑張ります」
同僚たちは拍手で温かく送り出しました。
(奄美市笠利総合支所土地対策課笠利分室 中野寛仁室長)「初めてのお子さんなので『はい喜んで』と。最近育休が取れるようになっているので、この時代なのでぜひ取ってもらって、子育てを楽しんでリフレッシュして戻ってきてもらえれば」
生後6か月の長女・翠衣ちゃんです。育休初日、武田さんは朝からおむつの交換やミルク作りなどを積極的にこなしていました。普段であれば、出勤する時間帯です。
(武田桂さん)「もうこの時間ぐらい、7時半前ぐらいに出るので、子どもが寝てるときには起こさないように準備をしてこっそり出ていく」
おむつの交換と着替えをする武田さんが少し手惑い、翠衣ちゃんがぐずる…
(妻・雅美さん)「(夫がいないときは)朝から寝てる間に洗濯とかも全部終わらせて(子どもが)起きている間は本当に何もできないので、ごはんも作れないから帰ってから作っている」
およそ1か月の育休期間中、武田さんには目標があります。
(武田桂さん)「夜の寝かしつけをがんばろうと思います。今お母さんじゃないとねないので、寝かしつけができるよう頑張ります」
(武田桂さん)「いつもまかせてたからね」
(雅美さん)「おねがいします」
県によりますと、地方公務員育児休業法では、父親も母親も1日から最大3年間の育児休暇を取ることができます。
県内の市町村役場で働く男性職員のうち、育休を取った人の割合は、記録の残る2018年度は4.4%。その後、年々増え、昨年度は45.3%でした。今でこそ当たり前になりつつある男性の育休ですが…
(記者)「鹿児島県の男性職員として初めて育児休暇を取得した方が、ここ奄美市役所にいます」
奄美市の諏訪哲郎副市長(53)です。今から24年前の2001年、次女が生まれました。その時、県職員の男性として初めて育休を取りました。2か月の育休期間中の状況は「今とは全く違った」と話します。
(諏訪副市長)「ベビーカーを男ひとりで押してたら、周囲の人たちがぎょっとした目でなんだろうな、この人は、とそういうのはありました」
5・6年前ほど前から時代の変化を感じています。
(諏訪副市長)「今まで男だ女だと言っていたころに比べると、今は男性でも育児に関わるのが当たり前というか、そういう意識にどんどん変わってきたんじゃないかな」
意識の変化は奄美市役所でも。育児休業中の仲間の仕事を協力してカバーします。
Q.武田さんがいない分を全員でカバー?
(武田さんの同僚・和田信朗主査)「当然そうですね。みんなでカバーし合いながら進めている。これが普通になりつつあって、なっていかないといけないのかなという認識」
育休取得から1か月たった今月5日、武田さんの家を訪ねました。生後7か月になった翠衣ちゃんをお風呂に入れたり、最近始めた離乳食を食べさせる手伝いをしたりと奮闘していました。
(武田桂さん)「娘の成長を間近で『あっこれができた』というのを見られるのがすごくうれしくて、それが良かったなと思います」
これまで妻の雅美さんに任せきりにしていた「寝かしつけ」は、できるようになったのでしょうか?
(武田桂さん)「最初はやっぱり夜寝かしつけの時に全然寝なくて、最初何日かは心が折れそうになったんですけど、頑張って、そこが一番成長したんじゃないかな(Q.一人で寝かしつけ大丈夫?)大丈夫です」
(妻・雅美さん)「いままではなかなか寝なかったので(父と)一緒にいる時間が長くなって寝てくれるようになって。夜がゆっくりできる」
父親となり初めての子育て中の武田さんにとって、1か月の育休は家族と向き合う大切な時間となっています。