アメリカやヨーロッパなどを襲っている寒波や大雪は、まだまだ止みそうもない。困ったことに、この厳しい冬の天候は長期にわたるトレンドの始まりだという。
北大西洋のジェット気流の変化で、より寒くて長い冬が定着する――科学者たちはその仕組みを、世界の天候パターンに関する研究の力を借りて理解しつつある。
シカゴで先日開催されたアメリカ科学振興協会(AAAS)年次大会で発表された研究によれば、北ヨーロッパと北アメリカの上空を流れるジェット気流はより長く、より蛇行するようになっている。北半球を西から東へ流れるジェット気流は、熱帯地方から北極に向かう温かい空気と、北極から熱帯へと向かう冷たい空気の境界に発生する。
ジェット気流の強さは、熱帯と北極の気温の差に比例する。差があまりなければ、ジェット気流は弱く蛇行しやすい。北極では今、ほかの地域に比べて2、3倍の速度で気温が上昇しており、北極と熱帯との気温差は小さくなっている。これは、北アメリカとヨーロッパにおける長い冬を意味する。
北極が温かくなれば、寒波はさらに南に、暖かい空気はさらに北に届くようになる。蛇行したジェット気流のくびれはなかなか移動せず、北米やヨーロッパの上空では厳しい冬の天気が何週間も続くことになる。
さらに南方まで寒波が襲うように
「北極とそれより緯度の低い地域の気温差は、ジェット気流の発生源の1つだ。それは風を作り出す」と、ラトガーズ大学の海洋・沿岸科学研究所のジェニファー・フランシス教授は述べている。「北極は急速に温暖化しているので気温差は小さくなり、ジェット気流が生まれにくくなっている。そうなるとジェット気流はしばらくの間、同じ場所にとどまる。12月と1月には、非常に蛇行したパターンが出現した」
NASA(米航空宇宙局)によれば北極の気温は81年以降、10年ごとに平均約1.2度上昇している。「81年〜01年の北極における気温上昇は、過去100年間の北極の気温上昇の8倍の速度で進行している」と、NASAの科学者は指摘する。北極が温暖化しているのは、これまで太陽光を反射していた海氷が溶けているために、海が熱を吸収しているからだ。
フィリップ・ロス
北大西洋のジェット気流の変化で、より寒くて長い冬が定着する――科学者たちはその仕組みを、世界の天候パターンに関する研究の力を借りて理解しつつある。
シカゴで先日開催されたアメリカ科学振興協会(AAAS)年次大会で発表された研究によれば、北ヨーロッパと北アメリカの上空を流れるジェット気流はより長く、より蛇行するようになっている。北半球を西から東へ流れるジェット気流は、熱帯地方から北極に向かう温かい空気と、北極から熱帯へと向かう冷たい空気の境界に発生する。
ジェット気流の強さは、熱帯と北極の気温の差に比例する。差があまりなければ、ジェット気流は弱く蛇行しやすい。北極では今、ほかの地域に比べて2、3倍の速度で気温が上昇しており、北極と熱帯との気温差は小さくなっている。これは、北アメリカとヨーロッパにおける長い冬を意味する。
北極が温かくなれば、寒波はさらに南に、暖かい空気はさらに北に届くようになる。蛇行したジェット気流のくびれはなかなか移動せず、北米やヨーロッパの上空では厳しい冬の天気が何週間も続くことになる。
さらに南方まで寒波が襲うように
「北極とそれより緯度の低い地域の気温差は、ジェット気流の発生源の1つだ。それは風を作り出す」と、ラトガーズ大学の海洋・沿岸科学研究所のジェニファー・フランシス教授は述べている。「北極は急速に温暖化しているので気温差は小さくなり、ジェット気流が生まれにくくなっている。そうなるとジェット気流はしばらくの間、同じ場所にとどまる。12月と1月には、非常に蛇行したパターンが出現した」
NASA(米航空宇宙局)によれば北極の気温は81年以降、10年ごとに平均約1.2度上昇している。「81年〜01年の北極における気温上昇は、過去100年間の北極の気温上昇の8倍の速度で進行している」と、NASAの科学者は指摘する。北極が温暖化しているのは、これまで太陽光を反射していた海氷が溶けているために、海が熱を吸収しているからだ。
フィリップ・ロス