70年代にデビューしたボーイング747型機は、世界に「空の大量輸送時代」をもたらし、それこそ「格安航空券」を実現させた歴史的な機材です。そのジャンボが3月末、全日空の国内線での運用から引退して、日本の全ての旅客航空会社から姿を消してしまいました。
この引退劇に関してですが「エンジン4基の巨大機」なので燃料効率が悪いとか、「老朽化が進んだ」などというイメージで語られる一方で、関係者にしても、乗客にしても「一世を風靡した機材の引退」ということで多少感傷的になっている、そんな報道が多かったようです。では、世界的に見てこのジャンボという機材は過去のものになりつつあるのでしょうか?
実は、今回退役したのはジャンボの中での「第四世代」に当たる「747−400」という型です。「ダッシュ400」とか「ハイテクジャンボ」、「メガトップ」などと色々な愛称で呼ばれたこの世代は、シリーズ中の最高のヒット作となり、全部で600機以上が製造されています。
個人的にはこの「ダッシュ400」というのは自分がアメリカと日本を往復し始めた頃には、各社の主力機でしたから感慨の深いものがあります。例えば今は無くなってしまったユナイテッド航空の「UA800/801」という、成田=JFKの直行便などは良く利用したのを覚えていますし、90年台初頭の当時はこのエンジン4発を積んだ「ダッシュ400」が世界で最も先進的な旅客機でした。
その「ダッシュ400」は確かに燃料効率が問題とされて、アッという間に同じボーイングでもエンジン2発の「777」に市場を奪われる一方で、超巨大機というカテゴリでは、エアバスA380の登場で影が薄くなっていたのも事実です。
では、世界的に見て「747」は完全に過去の存在になっているのでしょうか?
何となく、今回の「退役報道」を見ていますとそんなイメージがしますが、実は違うのです。
このボーイング747には、最新の技術を導入して、777やA380と同等の燃料効率を実現した「747−8(ダッシュ8)」という最新モデルが存在します。既に開発は完了しており、2011年には貨物型が、2012年には旅客機型も就航が始まっているのです。
この「ダッシュ8」ですが、イメージ的には747と787をミックスしたような印象で、主翼が大きくカーブしている様子は787に似たイメージです。ですから、「ダッシュ400」の特徴であった主翼端に上向きに取り付けられた気流整流用の「ウイングレット」はありません。また、非常に長い機材となっており、長さはA380を上回って現在世界では最も長い旅客機となっています。
但し、残念ながらマーケティングがうまく行っていないようで、この「ダッシュ8」は、旅客型の本格導入を決定している大手航空会社としては、ルフトハンザ(就航済み)、大韓航空、中国国際航空程度であり、むしろ日本貨物航空(就航済み)をはじめとした貨物型の方がビジネスとしては成功しているようです。
理由としては、777とA380の「中間的なサイズ」という大きさが、現在の世界の航空会社の戦略に合わなくなっているということ、747系列のパイロットがどんどん引退年齢を迎えており、「ダッシュ400」から「ダッシュ8」への移行が簡単だというメリットが薄れていることなどが挙げられるようです。
航空会社の戦略ということでは、現在は787という「航続距離が長く燃費の良い」中型機を直接目的地へ飛ばす方法が好まれ始めています。つまり、「ハブ・アンド・スポーク」という「主要なハブ空港間は巨大機で」大量輸送して、ハブから先は小型機に乗り継いでもらう(スポーク)という方法は、やや時代遅れになっているのです。
また本当のハブ間大量輸送は、A380という超巨大機がどんどん活躍している関係で、「ダッシュ8」という大きさの機材は、そんなにニーズがないという解説も可能でしょう。例えば、ルフトハンザは「ダッシュ8」を積極導入しているほとんど唯一の大型キャリアですが、「フランクフルト=成田」のような幹線ではA380を使っています。
ちなみに、日本でも全日空は、リーマン・ショックの前の段階で「A380かダッシュ8か」という次期大型機導入の検討を行ったことがあります。これは世界不況の結果として見送られましたが、現在も新たに機材更新を進める中で大型機材の導入も再度検討されているようです。
但し報道によれば、2014年3月にその大型機材としては、今後開発される「777−9X」という現在のボーイング777型ファミリーの中で最も「長い」300ERを更に「長く」したモデルが選択されたそうです。全日空は既にこの「9X」を20機オーダーしたという報道もありますから、「ダッシュ8」が採用される可能性は少なくなったと言えます。
そんなわけで、「ジャンボ」には「ダッシュ8」という燃料効率でライバルに引けを取らない最新モデルがちゃんと存在しているのです。今回の「退役報道」を見ていますと、ジャンボという機材は完全に過去のものになっていくようなイメージがあるのですが、ちょっと違うよというわけです。
そうではなくて、「ダッシュ8」という最新型があるものの、超大型総二階建ての「エアバスA380」と、世界的に長距離機材として圧倒的なシェアを取るに至った「ボーイング777」との間で、「中途半端な」存在になってしまったこと、そして747シリーズのパイロットが世代交代の過程にあることなどから、各社の航空会社から「構想外」になりつつあるということです。
この引退劇に関してですが「エンジン4基の巨大機」なので燃料効率が悪いとか、「老朽化が進んだ」などというイメージで語られる一方で、関係者にしても、乗客にしても「一世を風靡した機材の引退」ということで多少感傷的になっている、そんな報道が多かったようです。では、世界的に見てこのジャンボという機材は過去のものになりつつあるのでしょうか?
実は、今回退役したのはジャンボの中での「第四世代」に当たる「747−400」という型です。「ダッシュ400」とか「ハイテクジャンボ」、「メガトップ」などと色々な愛称で呼ばれたこの世代は、シリーズ中の最高のヒット作となり、全部で600機以上が製造されています。
個人的にはこの「ダッシュ400」というのは自分がアメリカと日本を往復し始めた頃には、各社の主力機でしたから感慨の深いものがあります。例えば今は無くなってしまったユナイテッド航空の「UA800/801」という、成田=JFKの直行便などは良く利用したのを覚えていますし、90年台初頭の当時はこのエンジン4発を積んだ「ダッシュ400」が世界で最も先進的な旅客機でした。
その「ダッシュ400」は確かに燃料効率が問題とされて、アッという間に同じボーイングでもエンジン2発の「777」に市場を奪われる一方で、超巨大機というカテゴリでは、エアバスA380の登場で影が薄くなっていたのも事実です。
では、世界的に見て「747」は完全に過去の存在になっているのでしょうか?
何となく、今回の「退役報道」を見ていますとそんなイメージがしますが、実は違うのです。
このボーイング747には、最新の技術を導入して、777やA380と同等の燃料効率を実現した「747−8(ダッシュ8)」という最新モデルが存在します。既に開発は完了しており、2011年には貨物型が、2012年には旅客機型も就航が始まっているのです。
この「ダッシュ8」ですが、イメージ的には747と787をミックスしたような印象で、主翼が大きくカーブしている様子は787に似たイメージです。ですから、「ダッシュ400」の特徴であった主翼端に上向きに取り付けられた気流整流用の「ウイングレット」はありません。また、非常に長い機材となっており、長さはA380を上回って現在世界では最も長い旅客機となっています。
但し、残念ながらマーケティングがうまく行っていないようで、この「ダッシュ8」は、旅客型の本格導入を決定している大手航空会社としては、ルフトハンザ(就航済み)、大韓航空、中国国際航空程度であり、むしろ日本貨物航空(就航済み)をはじめとした貨物型の方がビジネスとしては成功しているようです。
理由としては、777とA380の「中間的なサイズ」という大きさが、現在の世界の航空会社の戦略に合わなくなっているということ、747系列のパイロットがどんどん引退年齢を迎えており、「ダッシュ400」から「ダッシュ8」への移行が簡単だというメリットが薄れていることなどが挙げられるようです。
航空会社の戦略ということでは、現在は787という「航続距離が長く燃費の良い」中型機を直接目的地へ飛ばす方法が好まれ始めています。つまり、「ハブ・アンド・スポーク」という「主要なハブ空港間は巨大機で」大量輸送して、ハブから先は小型機に乗り継いでもらう(スポーク)という方法は、やや時代遅れになっているのです。
また本当のハブ間大量輸送は、A380という超巨大機がどんどん活躍している関係で、「ダッシュ8」という大きさの機材は、そんなにニーズがないという解説も可能でしょう。例えば、ルフトハンザは「ダッシュ8」を積極導入しているほとんど唯一の大型キャリアですが、「フランクフルト=成田」のような幹線ではA380を使っています。
ちなみに、日本でも全日空は、リーマン・ショックの前の段階で「A380かダッシュ8か」という次期大型機導入の検討を行ったことがあります。これは世界不況の結果として見送られましたが、現在も新たに機材更新を進める中で大型機材の導入も再度検討されているようです。
但し報道によれば、2014年3月にその大型機材としては、今後開発される「777−9X」という現在のボーイング777型ファミリーの中で最も「長い」300ERを更に「長く」したモデルが選択されたそうです。全日空は既にこの「9X」を20機オーダーしたという報道もありますから、「ダッシュ8」が採用される可能性は少なくなったと言えます。
そんなわけで、「ジャンボ」には「ダッシュ8」という燃料効率でライバルに引けを取らない最新モデルがちゃんと存在しているのです。今回の「退役報道」を見ていますと、ジャンボという機材は完全に過去のものになっていくようなイメージがあるのですが、ちょっと違うよというわけです。
そうではなくて、「ダッシュ8」という最新型があるものの、超大型総二階建ての「エアバスA380」と、世界的に長距離機材として圧倒的なシェアを取るに至った「ボーイング777」との間で、「中途半端な」存在になってしまったこと、そして747シリーズのパイロットが世代交代の過程にあることなどから、各社の航空会社から「構想外」になりつつあるということです。