女優のエマ・ワトソンと言えば、10歳の子役として映画の『ハリー・ポッター』シリーズの第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』でハーマイオニー役を演じて以来、このシリーズの全8作に出演しており、1990年代生まれの女優の中では、大変な知名度を誇っています。今年に入ってからは『ノア』という「ノアの方舟伝説」の映像化作品も公開されています。
そのワトソンは、忙しいスケジュールの中、英国の高校卒業資格をしっかり取って、最終的にはアメリカのロードアイランド州にある、ブラウン大学に入学しました。ブラウンといえば、「アイビー・リーグ」加盟8校の一つであり、実学にも人文科学にも強い名門です。
これに伴って、アメリカのニューイングランドに通学し始めた彼女は、自然とニューヨークの芸能関係の社交界にも顔を出すようになりました。そのためもあって、この間、ニューヨークの芸能メディアは、常に彼女のことを追いかけており、やれ交際相手が変わったとか、大学では孤独だとか、好き勝手なことを書かれていたのです。
ブラウンのカリキュラムは決して生易しいものではなく、女優業との両立は大変だったようです。一部には、中途で退学したなどという報道も出る始末でした。ですが、結局6年を要したのですが、ワトソンは、この5月に無事にブラウンの学位を授与されたのです。専攻は英文学でした。
今週行われたブラウンの卒業式にワトソンは列席し、角帽とガウンを身につけたセルフィー(自分撮り)は世界中を駆け巡りました。AP通信社は「スーパーな卒業生」だとして、彼女の努力を賞賛する記事を全世界に配信しています。
ですが、その卒業式に列席していたワトソンの隣に、やや不自然な列席者が並んでいるのを一部のメディアは見逃しませんでした。角帽とガウンを身につけているのですが、相当に年配の女性です。
メディアは式典の終了後もこの女性を追跡したところ、彼女はさっさとガウンを脱いで軽装になると、そのままワトソンと一緒にどこかへ消えてしまいました。その腰には、小型の拳銃がしっかり装着されていたのです。また、通信機と思われる装備もしていました。
この女性は、ワトソンのボディーガードだったのです。ガウンと角帽で偽装していたということは、いわゆる「アンダーカバー」、つまり覆面ボディーガードというわけです。
この問題はメディアの格好の餌食になりました。その背景には「銃社会」の問題があります。
例えば先週末の23日には、西海岸のカリフォルニア大学サンタバーバラ校の近くの学生街で乱射事件が発生し、大学のキャンパス内外での銃を使った暴力事件というのは根絶できていないわけです。そんな中で、南部から中西部の一部の大学では、「キャンパス内での自衛のための銃の携行」を認めるような動きもあります。
これに対して、東海岸などリベラル州では「キャンパス内への銃の持ち込み禁止」が原則です。またこのブラウン大学のあるロードアイランド州は、全米でも最も厳しい銃規制を行っている州でもあります。
ということは、仮にワトソンが「個人的に雇ったボディーガードを大学に認めさせて帯同していた」となると問題になるのです。ロードアイランド州では、「非居住者への銃携行許可証」がなければ銃携行は違法になるし、この許可証自体は非常に発行が難しいとされているからです。
またアメリカの大学は「自治」が原則であり、州や市町村の警察権ではなく、自治警察が治安維持を担当しています。ということは、一つの可能性としては、この女性はブラウン大学の自治警察の人間で、自治警察がワトソンの警護をしていたというストーリーです。
そうなると、大学が一人の学生のために、武装警官を卒業生の中に潜らせていたということになります。これも、銃規制派のカルチャーからすれば、特に神聖な教育の場として相応しくないということになると思います。
ブラウン大学のあるプロビデンス市は、一昨年の暮れに小学校で乱射事件のあったコネチカット州に隣接しています。「危険があれば学校内に銃を持ち込むことも可」ということでは、NRA(全米ライフル協会)の言っていることと同じではないかという批判を受ける可能性もあるわけです。
そんなわけで、「あのボディーガードは大学の自治警察職員であったのか?」というのは、重要な問題になります。これに関しては、大学サイドは「一切ノーコメント」だとしています。
一部の報道によると、信憑性はともかく、この女性はNYPD(ニューヨーク市警)の元警官で、ワトソンが個人的に雇っている専属ボディーガードだという説もあります。また、大学の属するロードアイランド州の州警察は、関与を否定しています。いずれにしても、このニュースに関しては、「真相」はおそらく明らかにはならないでしょう。
一方で、卒業式でのワトソンの表情が固かったのが気になりました。もしかしたら、孤独だったというのは本当なのかもしれない、そんな印象が拭えないのです。警護の「覆面ボディーガード」の存在が暴かれた後では、その印象は余計に強く感じられます。
全世界的な知名度という重圧の中で、女優としての「中身」を磨いていきたい――ブラウンの学位にこだわったというのは、おそらくはそうした「根性」の結果だったのかもしれません。今後の活躍を期待せずにはいられません。
そのワトソンは、忙しいスケジュールの中、英国の高校卒業資格をしっかり取って、最終的にはアメリカのロードアイランド州にある、ブラウン大学に入学しました。ブラウンといえば、「アイビー・リーグ」加盟8校の一つであり、実学にも人文科学にも強い名門です。
これに伴って、アメリカのニューイングランドに通学し始めた彼女は、自然とニューヨークの芸能関係の社交界にも顔を出すようになりました。そのためもあって、この間、ニューヨークの芸能メディアは、常に彼女のことを追いかけており、やれ交際相手が変わったとか、大学では孤独だとか、好き勝手なことを書かれていたのです。
ブラウンのカリキュラムは決して生易しいものではなく、女優業との両立は大変だったようです。一部には、中途で退学したなどという報道も出る始末でした。ですが、結局6年を要したのですが、ワトソンは、この5月に無事にブラウンの学位を授与されたのです。専攻は英文学でした。
今週行われたブラウンの卒業式にワトソンは列席し、角帽とガウンを身につけたセルフィー(自分撮り)は世界中を駆け巡りました。AP通信社は「スーパーな卒業生」だとして、彼女の努力を賞賛する記事を全世界に配信しています。
ですが、その卒業式に列席していたワトソンの隣に、やや不自然な列席者が並んでいるのを一部のメディアは見逃しませんでした。角帽とガウンを身につけているのですが、相当に年配の女性です。
メディアは式典の終了後もこの女性を追跡したところ、彼女はさっさとガウンを脱いで軽装になると、そのままワトソンと一緒にどこかへ消えてしまいました。その腰には、小型の拳銃がしっかり装着されていたのです。また、通信機と思われる装備もしていました。
この女性は、ワトソンのボディーガードだったのです。ガウンと角帽で偽装していたということは、いわゆる「アンダーカバー」、つまり覆面ボディーガードというわけです。
この問題はメディアの格好の餌食になりました。その背景には「銃社会」の問題があります。
例えば先週末の23日には、西海岸のカリフォルニア大学サンタバーバラ校の近くの学生街で乱射事件が発生し、大学のキャンパス内外での銃を使った暴力事件というのは根絶できていないわけです。そんな中で、南部から中西部の一部の大学では、「キャンパス内での自衛のための銃の携行」を認めるような動きもあります。
これに対して、東海岸などリベラル州では「キャンパス内への銃の持ち込み禁止」が原則です。またこのブラウン大学のあるロードアイランド州は、全米でも最も厳しい銃規制を行っている州でもあります。
ということは、仮にワトソンが「個人的に雇ったボディーガードを大学に認めさせて帯同していた」となると問題になるのです。ロードアイランド州では、「非居住者への銃携行許可証」がなければ銃携行は違法になるし、この許可証自体は非常に発行が難しいとされているからです。
またアメリカの大学は「自治」が原則であり、州や市町村の警察権ではなく、自治警察が治安維持を担当しています。ということは、一つの可能性としては、この女性はブラウン大学の自治警察の人間で、自治警察がワトソンの警護をしていたというストーリーです。
そうなると、大学が一人の学生のために、武装警官を卒業生の中に潜らせていたということになります。これも、銃規制派のカルチャーからすれば、特に神聖な教育の場として相応しくないということになると思います。
ブラウン大学のあるプロビデンス市は、一昨年の暮れに小学校で乱射事件のあったコネチカット州に隣接しています。「危険があれば学校内に銃を持ち込むことも可」ということでは、NRA(全米ライフル協会)の言っていることと同じではないかという批判を受ける可能性もあるわけです。
そんなわけで、「あのボディーガードは大学の自治警察職員であったのか?」というのは、重要な問題になります。これに関しては、大学サイドは「一切ノーコメント」だとしています。
一部の報道によると、信憑性はともかく、この女性はNYPD(ニューヨーク市警)の元警官で、ワトソンが個人的に雇っている専属ボディーガードだという説もあります。また、大学の属するロードアイランド州の州警察は、関与を否定しています。いずれにしても、このニュースに関しては、「真相」はおそらく明らかにはならないでしょう。
一方で、卒業式でのワトソンの表情が固かったのが気になりました。もしかしたら、孤独だったというのは本当なのかもしれない、そんな印象が拭えないのです。警護の「覆面ボディーガード」の存在が暴かれた後では、その印象は余計に強く感じられます。
全世界的な知名度という重圧の中で、女優としての「中身」を磨いていきたい――ブラウンの学位にこだわったというのは、おそらくはそうした「根性」の結果だったのかもしれません。今後の活躍を期待せずにはいられません。