これまでアメリカ国内では、搬送されたエボラ出血熱患者を3人受け入れており、その全員の治療に成功しています。この3人はいずれも医師などで、エボラウイルスの流行地に赴いて診療を行っているうちに感染しました。最初の2人はジョージア州で、残りの1人はネブラスカ州で、それぞれ隔離の上で治療が行われました。
これに続いて、今回は初のケースとして米本土に入ってから発症したリベリア人の男性に関して、現在テキサス州ダラスで隔離の上、治療が行われています。同時にこの患者が発症後に接触した家族などの人々に関しても、隔離の上で観察措置が取られています。
現時点では、患者は重篤ではあるけれども安定した容体と発表されています。隔離もしくは観察対象になっている人の中からは新たな発症者は出ていません。
ですが、この時点に至るまでにも、医療機関のミスも含めて、感染を広めた「かも」しれない「危ない」行動というのは出ていると報じられています。
まず問題になっているのは、現在、患者が入院しているダラスの病院のER(救急センター)です。このセンターでは、高熱と下痢の症状の現れた時点でこの患者を診察しておきながら、そして「西アフリカからの渡航者」ということも確認しながら、抗生剤を処方して帰宅させるというミスを犯しています。
2日後に症状が重くなった患者の家族は、病院は信用出来ないからと、CDC(米疾病対策センター)に直接電話をしてアドバイスを受け、驚いたCDCがすぐに救急車を呼んで入院するよう指示。結果的に同じ病院で診察を受け、直ちに隔離・治療となりました。この「発症後の比較的軽症であった2日間」に感染が起きた可能性は否定できず、病院は大きな批判を浴びています。
現在は、患者のパートナーと子どもたちなど4人が、そのアパートからの「外出禁止措置」を受けるという形で事実上隔離されています。彼等に関して当初テキサス州としては「ソフトな隔離」を試みたのですが、取り決めに反して隔離中に「住宅の外に出る」という行動があったために、現在は武装警官が家を封鎖するという措置になっています。
このギクシャクした対応ですが、CDCからは患者が発症後に使用していた寝具類やタオルなどから感染が広がる可能性があるので、バイオハザード扱いで処分するよう、この家族に指示したのだそうです。そこで早く処分をと家族が焦る一方、処理部隊は来ない、そんな中で、家族が外の様子を見に出てしまったという説明が家族側からされています。
それでも今のところダラス、そしてテキサス州ではパニックのような反応は起きていません。例外は、患者の子どもたちが通っていた学校で、ここでは児童の数名が要観察の指定を受けるなど影響が大きく、保護者の間にも不安は広がっているようです。ですが、それ以外は現時点では平静です。
どうして平静なのかというと、まず最初に「アフリカで発症したアメリカ人医師たち」をアメリカ本土に移送して治療した際に、キチンと情報公開がされたことが指摘できます。ビジュアル的にはかなりインパクトのある、防護服や隔離カプセルなどを使った移送作戦などについて、三大ネットワークもケーブルニュースもかなり時間を取ってしっかり報道していました。
結果的にアメリカ人の医療従事者で感染した3人は治癒したのですが、その後、TVでインタビューに応じて、生還できたことへの感謝とともにエボラウイルスの恐怖と西アフリカの惨状に関して訴えたのも、この病気に関する正確な情報の拡散に寄与したと思います。
また今回のダラスでの発症事例でも、例えば病院の初動の大きなミス、そして動揺した家族と当局との意思疎通のすれ違いなど、「ネガティブ情報」がしっかり報じられたことも評価できると思います。問題が起きてしまった以上は仕方がないし、結果的に情報公開の姿勢、そしてCDCのリーダーシップに関しては、世論の信頼を得ることにつながっているようです。
報道機関の姿勢も同様です。例えば初期の「感染した医師の国内移送」に関しては、保守のポピュリストと言って良い、経営者のドナルド・トランプ氏が「米国内に移送して治療するのは危険であり反対」などという論陣を張りました。ですが、これは政権自らが「そうではない、アメリカが治療法を確立することがアフリカの人々にも、アメリカにも利益になる」と宣言して一蹴、報道もその立場を支持しました。
オバマ政権、特にスーザン・ライス大統領補佐官と、サマンサ・パワー国連大使は、このエボラ出血熱の問題を、中東のISISの問題と同様に、地球規模の危機と位置付けて、アメリカとして関与していく姿勢です。最終目標は、アフリカにおける流行の根絶ですが、その長い道のりへ向けて、まずはダラスのケースをどう抑えこむかが試金石になると思います。
これに続いて、今回は初のケースとして米本土に入ってから発症したリベリア人の男性に関して、現在テキサス州ダラスで隔離の上、治療が行われています。同時にこの患者が発症後に接触した家族などの人々に関しても、隔離の上で観察措置が取られています。
現時点では、患者は重篤ではあるけれども安定した容体と発表されています。隔離もしくは観察対象になっている人の中からは新たな発症者は出ていません。
ですが、この時点に至るまでにも、医療機関のミスも含めて、感染を広めた「かも」しれない「危ない」行動というのは出ていると報じられています。
まず問題になっているのは、現在、患者が入院しているダラスの病院のER(救急センター)です。このセンターでは、高熱と下痢の症状の現れた時点でこの患者を診察しておきながら、そして「西アフリカからの渡航者」ということも確認しながら、抗生剤を処方して帰宅させるというミスを犯しています。
2日後に症状が重くなった患者の家族は、病院は信用出来ないからと、CDC(米疾病対策センター)に直接電話をしてアドバイスを受け、驚いたCDCがすぐに救急車を呼んで入院するよう指示。結果的に同じ病院で診察を受け、直ちに隔離・治療となりました。この「発症後の比較的軽症であった2日間」に感染が起きた可能性は否定できず、病院は大きな批判を浴びています。
現在は、患者のパートナーと子どもたちなど4人が、そのアパートからの「外出禁止措置」を受けるという形で事実上隔離されています。彼等に関して当初テキサス州としては「ソフトな隔離」を試みたのですが、取り決めに反して隔離中に「住宅の外に出る」という行動があったために、現在は武装警官が家を封鎖するという措置になっています。
このギクシャクした対応ですが、CDCからは患者が発症後に使用していた寝具類やタオルなどから感染が広がる可能性があるので、バイオハザード扱いで処分するよう、この家族に指示したのだそうです。そこで早く処分をと家族が焦る一方、処理部隊は来ない、そんな中で、家族が外の様子を見に出てしまったという説明が家族側からされています。
それでも今のところダラス、そしてテキサス州ではパニックのような反応は起きていません。例外は、患者の子どもたちが通っていた学校で、ここでは児童の数名が要観察の指定を受けるなど影響が大きく、保護者の間にも不安は広がっているようです。ですが、それ以外は現時点では平静です。
どうして平静なのかというと、まず最初に「アフリカで発症したアメリカ人医師たち」をアメリカ本土に移送して治療した際に、キチンと情報公開がされたことが指摘できます。ビジュアル的にはかなりインパクトのある、防護服や隔離カプセルなどを使った移送作戦などについて、三大ネットワークもケーブルニュースもかなり時間を取ってしっかり報道していました。
結果的にアメリカ人の医療従事者で感染した3人は治癒したのですが、その後、TVでインタビューに応じて、生還できたことへの感謝とともにエボラウイルスの恐怖と西アフリカの惨状に関して訴えたのも、この病気に関する正確な情報の拡散に寄与したと思います。
また今回のダラスでの発症事例でも、例えば病院の初動の大きなミス、そして動揺した家族と当局との意思疎通のすれ違いなど、「ネガティブ情報」がしっかり報じられたことも評価できると思います。問題が起きてしまった以上は仕方がないし、結果的に情報公開の姿勢、そしてCDCのリーダーシップに関しては、世論の信頼を得ることにつながっているようです。
報道機関の姿勢も同様です。例えば初期の「感染した医師の国内移送」に関しては、保守のポピュリストと言って良い、経営者のドナルド・トランプ氏が「米国内に移送して治療するのは危険であり反対」などという論陣を張りました。ですが、これは政権自らが「そうではない、アメリカが治療法を確立することがアフリカの人々にも、アメリカにも利益になる」と宣言して一蹴、報道もその立場を支持しました。
オバマ政権、特にスーザン・ライス大統領補佐官と、サマンサ・パワー国連大使は、このエボラ出血熱の問題を、中東のISISの問題と同様に、地球規模の危機と位置付けて、アメリカとして関与していく姿勢です。最終目標は、アフリカにおける流行の根絶ですが、その長い道のりへ向けて、まずはダラスのケースをどう抑えこむかが試金石になると思います。