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欧米を危険に晒すアフガニスタンの政治空白

ニューズウィーク日本版 2014年12月11日 16時33分

 アフガニスタン支援国による閣僚級の会合が先週、ロンドンで開かれた。この国のために大金をつぎ込んでいる60カ国以上の支援国にとっては、「カルザイ後」の経済と安全保障の針路を把握しておきたいところだ。

 しかしガニ大統領が9月に就任してから2カ月以上がたち、イスラム原理主義勢力タリバンやアルカイダの脅威も増しているというのに、いまだに組閣すらできていない。

 憲法では新大統領の就任後60日以内に、前閣僚は職務を辞職しなければならないと決まっている。その規定に基づいて、下院は前閣僚職の失効を宣言済みだ。つまりアフガニスタンには現在、内閣は存在せず、政府にいるのはガニ大統領と、ガニと大統領選を争ったアブドラ・アブドラ行政長官、数名の側近とアドバイザーだけ。このような政治空白が続けば、国の不安定化は目に見えている。再び内戦に陥る可能性も否定できない。

 組閣の遅れはガニとアブドラが対立している証しだ。2人は自分たちが有能で当てにできる政権だと支援国にアピールして資金援助を仰ぐべきときに、足並みの乱れをさらすことを選んだ。これでは治安の回復も経済復興も無理だろう。

 政府が一枚岩で臨まなければ、汚職の撲滅も不可能だ。国内最大の民間銀行、カブール銀行による不正融資問題への対処の甘さにも、指導部の団結の弱さが表れている。

 経済的自立を本気で目指しているのかも疑わしい。10年に完了予定だったナグルダムの補修工事はいまだ終わらず、その理由を責任者に問いただすこともしていない。結果、電力は輸入に依存し、その支払いも支援国に頼ったままだ。国内最大の資源とされるハジガク鉱山の開発は3年以上も遅れている。

 トップ2人が国民や国益のために協力しなければ、アフガニスタンは立ち直れない。援助資金もドブに捨てるようなものだ。カルザイ時代には腐敗まみれの政府に何十億ドルもが費やされた。いったい何の役に立ったのかは今も分からないままだ。

[2014.12.16号掲載]
ナシル・シャンサブ

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