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テクノロジーが招く「超・副業」時代

ニューズウィーク日本版 2015年2月4日 15時29分

 1つの仕事しかしない生き方は、一家に電話が1台しかないのと同じくらい珍しいものになりそうだ。今後は毎日いくつもの仕事を同時に進めるのが、普通になる。さまざまな資産やスキルを金に換えるサービスが、続々と生まれている。

 特に10代半ばから30代のミレニアル世代は、仕事と生活を融合させることで、人生がより有意義になると考えている。もっとも、そうした生活に疲れを感じる人も出てくるだろう。趣味や遊びまでが仕事になれば、ゆっくりビールを飲む暇さえなくなるかもしれない。

 キャリアの多角化を可能にするテクノロジーの典型が、人材紹介サービスのリクルーティファイ社。求職者と企業を結び付ける新しいサービスだ。

 ハイヤーやタクシーの配車サービスのウーバーが運転手と客をストックし、アプリを介して両者をつなぐのに似ている。リクルーティファイはヘッドハンターとクライアント企業をストック。ヘッドハンターはさばき切れないほどの求人情報が見られ、企業はスカウト会社に頼むよりもはるかに多くのヘッドハンターを通して人材を探せる。

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 面白いのはここからだ。リクルーティファイでは、誰もがヘッドハンターになれるのだ。

 あなたが食品会社のマーケティング担当者なら、おそらく同業者に顔が広いだろう。そこでリクルーティファイに登録し、マーケティング担当を探している食品会社があったら知人を紹介する。採用されれば、紹介料が入ってくる。今まで眠っていた資産(つまり、あなたの人脈)がこうして金につながる。

労働市場に激震が走る

 この手のサービスの先駆けは、オークションサイトのeベイだ。家でほこりをかぶっていた品物を売り買いできる仕組みを、90年代につくり出した。

 空き部屋を旅行者に貸すAirbnb(エアビーアンドビー)もある。このシステムはニューヨークだけで4580の「雇用」を生み、登録者は年平均7530ドルを稼いでいる。



 こうしたプラットフォームを職業に応用したのが、リクルーティファイなどのサービスだ。

 ゼネラル・エレクトリック(GE)が一部出資しているクワーキーは新興の発明会社だ。登録者のコミュニティーで採用されたアイデアを製品化し、発明者にはロイヤルティーを払う。

 こうした仕事のクラウドソーシング化は一層進んでいる。GEは13年、飛行機にエンジンを固定する部品のデザインを世界で公募した。約700の案から選ばれたインドネシアの技術者には7000ドルが贈られ、GEはこの部品を84%軽量化できた。

 仕事の在り方は今後大きく変わるだろう。フルタイムの仕事とは別に副業で人材を紹介したりアプリを開発したりしながら、空き部屋で稼ぐこともできる。

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 ただし社会はこうした働き方にまだ慣れていない。主に平日の日中に働く従来の勤務形態は、多角的なキャリアに合わない。新たな働き方が定着するまで労働市場には、農業に代わって第3次産業が台頭したときと同じくらいの激震が走りそうだ。

 経済学者のエリク・ブリンヨルフソンらは、テクノロジーが人間から仕事を奪うと予言する。一方で新しいプラットフォームは、無数の小さな雇用をつくり出している。市場で取り引きできる「資産」のすべてが、「仕事」になりつつあるのだ。

 ビールに関するオタクな知識も、副収入になるかもしれない。

[2015.2. 3号掲載]
ケビン・メイニー

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