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「スマホ断ち」で成績がガタ落ちに?

ニューズウィーク日本版 2015年2月13日 13時2分

 スマートフォンや携帯電話を授業や会議に持って行くと、ついいじったりして集中できなくなるから禁止すべき──よく耳にする主張だが、実際はむしろ逆効果かもしれない。

 米ミズーリ大学は先頃、スマホが手の届く場所にないとユーザーの不安やストレスが高まることを示す研究を発表した。精神面だけでなく認知能力まで阻害され、成績や仕事ぶりにも悪影響を及ぼす恐れがあるという。

 同大学の研究チームはまず、スマホの利用者136人(うち117人がiPhoneユーザー)に単語探しのパズルに取り組ませ、その間に心拍数と血圧を記録。次に、ブルートゥースが血圧測定機に支障を来すという口実でユーザーからスマホを取り上げ、別室に保管した。その後もユーザーにパズルを続行させたところ、心拍数も血圧も上昇した。

 同時に行ったもう1つの実験では、別室に保管したスマホに電話をかけるとどうなるかを検証した。鳴り響く着信音をただ聞いているしかない持ち主は明らかにイライラした様子になり、音が止まった後は心拍数と血圧が大幅に上昇。さらに、パズルを解く力も目に見えて低下した。

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「iPhoneから遠ざけられることで、ユーザーの知的作業能力が低下しかねないことが示唆された」と、研究の中心メンバーの1人であるラッセル・クレイトンは述べている。「iPhoneは私たち人間の一部になる力を持っている。だから、近くにないと自分の中の何かが欠けているような感覚に陥り、肉体にもネガティブな影響を及ぼす」

 そんなふうに翻弄されるのは嫌だけど、今さらスマホなしには戻れない? 研究チームは解決策として、1日のうちスマホを気にしない時間を作りつつ、試験や重要な会議など高い集中力を要する場には持って行くことを提言している。

 今回の研究は、人が携帯電話といかに密接な関係を築いているかを示すと同時に、数々の新たな問題も提起する。「将来的には、他のハイテク機器も同じように人間の一部になり得るかを研究する必要が出てくるだろう」と、研究チームは予測する。

 人間は機械とセットで一人前、という時代がいずれは到来しそうだ。

[2015.2.10号掲載]
ゾーイ・シュランガー 佐伯直美(本誌記者)

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