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集団レイプ被告人の非道な言い分

ニューズウィーク日本版 2015年3月20日 12時26分

 12年にインドで23歳の女性がバスの車内で集団レイプされ死亡した事件は、世界に大きな衝撃を与えた。先週、この事件を題材にしたBBCのドキュメンタリー映画『インドの娘』がイギリスで放映された。

 このドキュメンタリーでは、事件で死刑判決を受けた男の1人、ムケシュ・シン(控訴中)が刑務所内で取材に応じている。シンは、監督のレスリー・アドウィンに数々の仰天発言をした。

「きちんとした女の子は、夜の9時に外をほっつき歩いたりはしない。レイプ事件で責任があるのは、男より圧倒的に女のほうだ。女の子の役割は家事をすること。夜にディスコやバーに繰り出し、悪い服装をして悪いことをすることではない」

「レイプ中に、抵抗すべきでなかった。おとなしく、受け入れればよかった。そうすれば、済んだ後は降ろしてやったのに」

 ラジナト・シン内相は、この発言を「女性の尊厳を侮辱するもの」と非難する一方で、BBCが刑務所での取材許可の条件に違反したと批判(BBC側はこれを否定)。「不幸な出来事を金儲けのために利用することは許さない」と述べた。

 インドの裁判所は先週、社会に混乱を招くとの理由で『インドの娘』の国内での放映を差し止める判断を下した。

 放映差し止めの動きに対しては、抗議の声も上がっている。「男がインタビューで述べたことは、この国の多くの男たちが考えていることでもある」と、インドの女性実業家で上院議員のアヌ・アガは言う。「映画の放映を差し止めても問題の解決にはならない。インドの男たちが女性を尊重していないという現実を直視すべきだ。レイプ事件があると、いつも女性の責任にされる」

 監督のアドウィンはインドのテレビ番組で語った。このドキュメンタリーでは、「レイプ犯だけが病根なのではなく、(インドの)社会全体が病んでいることを訴えたかった」、と。

[2015.3.17号掲載]
スタブ・ジブ

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